第2話 ロリショタボーイ
セシルはアルと別れた後、街のすみっこの路地裏に居た。すみっこと言っても、そんなに狭くなくちょっと小さい広場的な所だ。
セシルは正面にある古ぼけたレンガの壁をトントンと軽く数か所たたいた。
すると、レンガ一つ一つがじわじわと動き出し、やがて正面に暖かな陽光とともに、幻想的な世界が繰り広げられていた。
暖かな陽光の元、一面の野原、その上を風が優しくなでる。静かにせせらぐ川、大きく育った木が数本、その木に住んでいる小鳥が巣の雛にえさを運びにやってくる。そして、丘の上にあるのは真っ白な大きなお城。
セシルは城の前までやってきてチョコレート型の白い扉を押し開ける。
突如、華やかな雰囲気が一気にただよった。
「おかえりなさいませ。セシル様」
長いレッドカーペットの両脇に何十人ものメイドがセシルを出迎える。
(うっ・・・)
実はセシルはもうここに来て3年はたつのだが、自分でもこの状況はそろそろ慣れようと思っているが、なかなか慣れるものではない。
だから、セシルはいつもこの状況になると少し戸惑ってしまう。
それで、いつもこの様子をさとられまいと冷静をよそおいレッドカーペットの上を歩き進む。
すると、目の前の階段を元気に駆け降りてくる美少年がセシルに飛びつき屈託のない笑顔を見せた。
「セッシーお帰りぃ〜」
クリクリの大きなライトブラウンの瞳がセシルを甘えるような目で見てくる。
「ただいま。リロ」
自然と優しい笑みがこぼれ、リロの頭をなでてやる。
えへ!とリロが嬉しそうに微笑む。
この金髪がかった髪の美少年の名はリロ・ローゼン。
実は、セシルより年上で17才なのだが、背が145cmしかないのだ。(ちなみにセシルは156cmである)しかも、甘い物と可愛い物が大好きなロリショタボーイなのだ。
「てゆーかさ、さっき街歩いてたらあたしにいろいろ聞いてくる変なやつ・・・確かアルって言ってたような気がするけど、そいつがボックス持ってたんだ」
あたしは腕に抱えていた荷物を近くのメイドに手渡しながら話をしていると、それを聞いたリロは大きく目を見開いた。
「へぇ〜!ボックス持ってる子と会えるなんて珍しいねぇ〜。世界にたったの7人しかいないのに」
「じゃぁ、あたしはその7人の中の2人にもう会ったって事だよね」
ーーそう、あたしはもう2人のボックス使いに出会っている。今日街で会ったアルとそれからーー
「そー言う事だねぇ〜!あっ、そうだ!これから新しく出来たパフェ屋さん一緒に行こ〜!」
満面の笑みであたしの手をとって、あたしはリロにひかれるがままについて行く。
あたしはこの、リロの何色にも染まらない笑顔が好きだ。
見てるこっちも嬉しくなるし、何より幸せな気分になれるから・・・
ふと、我にかえり、がらにもない事を思うなと思い、リロが用意させたのであろう馬車に乗り込んで新しく出来たと言うパフェ屋に向かった。