最後の晩餐(2)
三木目線です。
次から本番入ります。
「ああ!もうどうすっかなこれ!!」
部屋の中で一人で怒鳴った。
祭りは明日。着ていく浴衣は無いし祭りの心得も知らない。これがインドア派の宿命というやつか。
「着るものはいつものでいいよなぁ?金はどれくらい持っていけばいいんだ?3000円か?5000円か?」
ヤバイ。語彙力も含めてヤバイ。
「本当ドタバタしてますねー」
背後にいたのは朝原だった。本当、お前はどうやって侵入しているんだ。
だが、この状況下でのこいつは結構使える。アウトドア派だからな。
「何やってんですか全く。祭りは明日ですよ?ちゃんと準備しなきゃ」
その準備とやらが分かればとっくにしとるわ!
「仕方ない、この私が教えて差し上げましょう」
おい、お前のキャラそんなだったか?
まぁ、教えてくれるのなら好都合。さぁ、この私に教えろ!はやく!
「というか、祭りっていっても普通ですよ?浴衣でもいいし、普段着でもいいんです」
「ほうほう」
後のためにメモしておこう。そんなことがあるか分からないけど。
「お金に関しては5000円あれば全部回れますよ。まぁ、スリとかが怖いのなら3000円くらいでいいと思いますけど。ちなみに、スリには色々種類がありますが、『スリだー!!』とかが聞こえたら用心した方がいいですよ」
「それはなんでだ?」
「これはスリの一つの手法なんです。そうやって言うことで『自分の財布は大丈夫か?』と確認するでしょ?それで財布の場所が分かるってことですよ」
「ほほぅ?」
「そっからはスリの本領発揮ですよ。いい感じにぶつかって取る。簡単でしょ?」
お前、本当に色々知ってんだな?てか、なんでそんなに詳しいんだ?前科あるのか?
「まぁ僕だったら相手が懐に手を入れた瞬間手首を握りつぶしますがね」
満面の笑みで怖いこと言うんじゃねぇよ。
十五分後。
「おし、大体分かった」
「力になれて良かったです」
朝原とがっしりと握手を交わす。
これで多分大丈夫だよな?なんか変なのもあったけど。彼女がチンピラに絡まれたときの対処法とか、必要ないだろ。なんでそんなの知ってんだ?リア充なのか?
「じゃ、僕帰りますねー。ちゃんと寝て下さいよー」
「分かった。今日はゆっくりと寝るわ。ありがとよ」
部屋から出て行く朝原を見送った後、俺は床に倒れ込んだ。
「今から寝よっかな」
俺が寝たのは今から二時間後、午後11時のことだった。