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32 約束の日

お題「約束」

 私が小学生の時だった。クラスのみんなで小学校の桜の木の下に、タイムカプセルを埋めた。10年後に開けようということで、それぞれ10年後の自分への手紙を書いた。

 私は成長とともに日々の生活が忙しくなり、タイムカプセルのことは忘れていった。

 私は大学生になり、キャンパスライフを楽しんでいた。そんな時だった。私のスマホに一通のメールが来た。


『約束の日だよ  瑠花るか


 瑠花からのメール。私が小学生の時に仲良くしていた子だ。だが、小学校卒業とともに、瑠花は東京から北海道へと引っ越して行った。それから疎遠になっていたのに、今、どうして? 約束って?

 その翌日だった。小学校の同窓会の葉書が届いた。そこには『タイムカプセルを開けよう』と書いてあった。


 タイムカプセル……そうだ。私と瑠花は自分宛てではなくて、お互いに送ろうと約束をしたんだ。

 瑠花からのメールはそういうこと?


 私は小学校の同窓会に出席することにした。そこで瑠花に会える!

 私は意気揚々と同窓会へと足を運んだ。しかし、そこには瑠花の姿はなかった。


「ねえ、瑠花は来てないの?」


 私は幹事に聞いた。


「島崎、お前知らないのか? 仲良かっただろ?」

「うん、でも、瑠花が北海道へ引っ越してから付き合いはないの」

「……そうか。今回連絡したら、一年前……病気で亡くなったってよ」

「え? でも、瑠花からメールが……」

「一年前か?」

「ううん。つい最近」

「お前、それ幽霊だぞ」

「変なこと言わないでよ!」


 私達が話してる間に、早速タイムカプセルを掘り出しに行くことになった。


 あの瑠花からのメールは一体……。


 私は混乱していた。そんな私の気持ちなどお構い無しにタイムカプセルが出てきた。みんなでわあわあ言いながら、それぞれ自分宛の手紙を取っていく。


「ほら、島崎」


 私に手渡されたのは、瑠花からの手紙。私はそっと開いていった。


『京子へ

 久しぶり! きっと京子は素敵な大学生になってるよね。元々美人だから、モテて大変でしょ。

 私ね、北海道へは療養のために行くの。私は治らない病気なんだって。それでもいい病院があるから行くの。10年後に会おうって約束したよね。私も京子に会いたいよ。それまで頑張って生きるから! だから、その約束忘れないでね。


  瑠花』


 瑠花は病気で……。知らなかった! 言ってくれればお見舞いに……! ううん。瑠花は弱音を吐かない。だから、私に言わなかったんだわ。

 あのメールは、きっと瑠花が私と約束したから……。瑠花、ごめんなさい。これからあなたに会いに行くわ。


 私は北海道へと向かった。そして墓前で瑠花に話しかけた。


「瑠花、約束通り会いに来たよ」


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