28 ポスト
お題「ポスト」
僕はみんなから「ポスト」って呼ばれてる。知ってるかな?郵便局前に立っている。赤い服を着ているんだ。少し派手だけど、結構気に入ってる。
僕の仕事はお客さんの郵便物を飲み込むこと。それを、郵便物を引き取りに来た人に渡すんだ。責任重大な仕事だよ。
僕は郵便局前に立っているから、郵便物を飲み込むことが多い。僕には小さい口と大きい口があって、それぞれの大きさの郵便物を飲み込むんだ。でもたまに大きい口に小さい郵便物を間違えて入れるお客さんがいる。困るんだよね。僕のお腹が壊れちゃうよ。
僕たちポストは近いところなら話すことが出来るんだ。それで郵便局前に立っていない仲間と話もしてる。その仲間のところには、あまり郵便物が来ないんだって。それに一人で立ってるから寂しいって言ってたな。
実は僕は新米のポストなんだ。だから服も綺麗でピカピカさ。でも先輩のポストは人気のない場所で頑張ってる。それを思うと僕って幸せだよね。
その先輩に聞いたことがある。もっと前の先輩は丸かったんだって。でも僕みたいに四角いポストに変わっていったらしいよ。先輩に聞いたら、地方にはまだ丸い先輩が残ってるんだって。会ってみたいなあ。きっとカッコいいんだろうな。僕は新米だけど風格を感じるに違いない。ずっと立ち続けてるなんて凄いよ。僕はこれからずっと立っていられるかなあ。
僕たちに休みはないんだ。雨の日も雪の日もずっと立ってるし、お客さんがいつでも来るからね。それ自体に文句はないよ。それが仕事だもんね。でもひとつお願いしたいのは、足なんだ。一本だと疲れちゃうんだよね。せめて二本にしてほしかったな。
あとね、僕のお腹に入った郵便物が一杯になることがあるんだ。僕のお腹の郵便物を取りに来る時間は決まってる。でもお客さんにはそんなことは関係ないもんね。時々僕の口からこぼれそうになることがあるんだ。それをなんとか口から飲み込んでいる。その時は僕のお腹は一杯だ。それでも入れようとするお客さんがいる。僕はなんとか口でおさえるんだ。結構難しいよ。
僕は新米だから、これからたくさんの修行を積むんだって。そう先輩が言ってた。郵便物を受けとる人が取りやすいようにきちんと分別するんだって。僕に出来るかな。でもみんな頑張ってるんだ。僕も頑張るよ。
さて、今日もたくさんの郵便物を飲み込むぞ。