19 坂道
お題「坂道」
ここはどこだ?俺は何故こんなところにいるんだ?
暗闇の中の一本道。先を見ても曲がりくねっているようで見えない。俺は歩き出した。緩やかな坂道を少しずつ登っていく。段々と疲れてくる足。この坂道はいつまで続くんだ?それに俺はどうしてこんなところを歩いているんだ?
答えは出ない。少し休むか。俺は道の脇に座り込んだ。とその時、前方に光が見えた。
「おーい、おーい」
俺は呼んでみた。だが光は近づいて来る気配はない。俺は光を目指して歩き出した。歩いていると、坂道がキツくなってきた。歩いても歩いても、光には近づけない。
もう疲れはてた……。
俺は大の字に寝転んだ。とても気持ちがいい。道路に寝ている感じはしない。今日はこのまま寝てしまおうか。
「…………」
「…………」
「…………!」
なんだろう?誰かの話し声?どこから?
俺は起き上がり、再び光を目指して歩き出した。
「…………!」
「…………!」
声が大きくなってきたようだ。すると、坂道の終わりが見えてきた。坂道の終わりは光輝いていた。
まぶしい!
「志郎!」
「志郎!」
「高柳さん、わかりますか?病院ですよ」
「……」
俺が目を開けると、母親と友達が俺を呼んでいた。
俺はバイクで事故を起こしたらしい。
ではあの坂道は……?もし途中で寝てしまったら?母親や友達が呼びかけてくれなかったら、永遠にあの坂道にいたかもしれない。
あの世とこの世を繋ぐ坂道だったのだろうか。




