二人の約束
翌週の当番の日、大地が図書室へ向かうとすでに郁香が来ていた。
「あ、山倉君、やっときた。」
と大地が来たのを確認するといそいそと鞄の中を探っていた。
そして何かを見つけると
「はい、これ」
と差し出した。それは一冊のノートだった。
「これは?」
と大地が疑問を口に出すと
「先週決めた小説の設定とある程度書いたあらすじ。一週間考えて少し付け足してきたんだ」
と満面の笑みで言った。
大地は少し戸惑いながらノートを受け取ると中を見てみた。
するとそこには昨日話していた登場人物の設定やあらすじなどがきれいにまとめられて書かれていた。そして大地は
「すごい!」
と、大地は言った。すると郁香は得意げな笑みを浮かべ
「思ったより大変だったよ~。君が考えたキャラにはこれで正しいのかわからなかったから。どう?イメージ合ってる?」
と言い、そして尋ねてきた。
大地は少し興奮しながら
「はい!めちゃくちゃ合っています!」
と即答していた。それを聞いた郁香は
「ほんと!よかった。じゃあ今日はここからふたりで冒頭部分だけ考えていこうか」
と今日することを決めてシャーペンを握っていた。しかし大地は申し訳ない顔をして
「そうしたいのはやまやまですが、今日は新刊の本が入ってくる日ですよね?」
と言った。すると郁香は今思い出したかのように
「そうだった。じゃあこれは明日になるかな。んーでももったいないしな」
とやる気は満々であることができないことにたいして欲求不満げにしていた。それを見かねた大地は
「でしたら今日の夜電話でもしながらやりませんか?交換日記風に書くにしても冒頭はお互いにストーリーを共有していないと書けませんよね?」
と提案した。すると郁香は驚きつつも
「いいね!それ。でもおうちの方とかにご迷惑かからない?」
と少し遠慮を見せた。しかし、大地は
「うちの両親、今日は母は飲み会で、父は仕事で遅くなるときいていますので大丈夫です」
と遠慮しないでいいですと付け加えながら言った。それを聞いた郁香は
「じゃあ、やろう。約束ねー」
とにこにこしながら決めた。そしてお互いに無料通話のできるSNSのアカウントを教えあった。
そして話が終わったタイミングで明里が声をかけてきた。
「先輩、先生が今月の新刊が職員室にあるから取りに来てほしいって言っていましたよ」
と告げた。大地は
「わかった。ありがとう小宮ちゃん。では郁香先輩、持ってきますので準備をしていてください。夜、楽しみにしていますね」
と言い職員室へ向かった。
月が変わる前に投稿できてよかったです。
来月からは隔週ペースで2週間に一度は投稿を目標に書いていきます。
長い物語ですが楽しんでいただけたら幸いです。