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陽だまりの図書室  作者: 竜泉塚 神楽
6/9

交換日記

 図書当番を始めて数週間、郁香と大地は仲良く話をしているととあるノートを発見した。

「先輩、これが落ちていたんですけど先輩のですか?」

「ううん、私はしらない。初めて見た」

「じゃあ、これは誰のなんでしょうね」

大地は手元のノート見ながらつぶやいた。そして

「どこか名前書いていないか」

と呟くとページをぱらぱらとめくり始めた。するとそれに気づいた郁香が

「勝手に中を見ていいの?」

と尋ねた。

「だめだと思いますけど…でもこのままだとここで預かっていないとだめじゃないですか」

「別にいいんじゃない?」

「それだと他の図書委員にみられるかもしれないし、それにもしかしたら困ってるかもしれないじゃないですか。そういうのあんまり見過ごしたくないんです」

「そうなんだ。でもそうだね。じゃあ少し失礼してっと」

二人はノートの中を見た。中身は交換日記調に書かれた小説だった。一見は交換日記にしか見えないため交換日記と間違えそうになるが内容をよくよく見てみると小説になっていた。これを見た二人は

「わぁ、これすごい。小説になっている」

「すごいですね。内容も面白いし、プロみたいだ」

「そうだね。もしかしたらプロかもね。現役高校生の作家さんはいるみたいだし」

「そうなんですか?」

「うん、ほらこの前お勧めした本、えーと確か、佐伯明里さん。あの人、顔は出してないけどインタビューでまだ高校生って言ってた。」

「そうなんですか!すごいな、同い年なのに大人と混じって仕事しているなんて」

「そうだね。アルバイトも仕事しているってことなのかもしれないけど、やっぱりどこか一人前扱いされていない感じあるし、簡単なことしかせてもらえないからね」

「先輩、バイトしたことあるんですか?」

「うん、ていうか今もしてるよ?土曜と日曜だけだけど知り合いがやってる書店で」

「すごいですね。」

「別にそんなことないって。自分が好きでやってる部分あるし、それにいつも本買いすぎてお小遣いじゃ足りなくてさ」

「でも、すごいですよ。自分で自分のためにお金を稼いで勉強もして、俺には真似できないです」

大地が素直に感心していると照れているのか少し顔を赤らめながら郁香は

「もー、大袈裟すぎるって、恥ずかしいよ。私これ直してくる」

と言って少し照れた感じでカウンターを離れた。大地はその顔を見て少しかわいいと思ったことに気づき顔をそむけた。そしてお互いそのことに気づかずその日は閉館時間まで過ごした。


翌日、大地は返却し忘れた本を返しに図書室を訪れた。そして大地は当番ではない郁香がカウンターにいて何かを書いていることに気づいた。大地はカウンターに近づくと

「あれ、先輩。今日は当番ではないですよね?」

と声をかけた。すると郁香は

「今日当番の子がどうしても外せない用事があるから変わってほしいって頼まれたて変わってあげたんだ」

と言った。それに大地は

「そうなんですか」

と言い

「では何を書いているんですか?」

尋ねた。それに郁香は

「あ、これ?小説。というかちょっと日記っぽいんだけどね」

と答えた。一度で理解できなかった大地は

「えっと?」

と思わず口に出していると郁香は

「ほら、昨日高校生でプロの作家やっている人がすごいって話したじゃん。だから私も書けるかって。思ったより難しくて日記っぽくなってるけど」

と言った。それを理解した大地は

「そうなんですか。でも、いきなりですね」

大地が驚いて思わず口にした。すると、郁香は

「うん。でも意外といいかもって君と書くなら」

と答えた。またも理解できなかった大地は

「え?」

と聞き返した。すると郁香はさも当然という風に

「これを使って交換日記みたいに私と小説を作らない?暇つぶし程度でいいからさ」

と大地に言った。大地は突然の申し出で驚き固まった。しかし、自分でいいのかとも思った。

「俺でいいんですか?」

と尋ねた。そして郁香は

「君だからやりたいんだよ」

と言った。大地は考えた。特にやりたいことがあるわけでもなかった。しかし何かやれることはないかとも思っていた。だからちょうどいい機会だと思った。だから大地は

「わかりました。やりましょう」

と言った。その答えに郁香満面の笑顔を見せて

「本当!じゃあ私が今日書いてくるから登場人物の設定だけでも考えない?」

と大地に提案した。それに大地も

「いいですよ」

と答え、そうして二人はカウンターで並んでノートに登場人物を作り始めた。

二人の時間は閉室時間まで続いた。



テストの関係で次の投稿は8月になります。

お盆休みまでには投稿したいと思っています。

新作も作れたらと思っています。

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