悲しい顔
一部タイプミス等あったため編集させていただきました
翌日、同じ時間に登校すると昇降口に郁香がいた。昨日はあんまり話せなかったなと思い、大地は、また声をかけることにした。
「桜井先輩、おはようございます」
すると郁香はすこし驚いた感じで
「お、おはよう、山倉君」
と返してきた。大地は少し不審に感じたが、特に気にせず話をつづけた。
「そういえば、この前教えていただいた本の続きとても面白かったです。主人公が犯人に仕立て上げられても絶対疑わないヒロインと仲間たちの絆がもうたまらなかったです」
すると郁香は
「そうなんだ。よかった。ああいうのは当たり外れが人によって違うから山倉君に合っていたみたいで」
「それはよかったです。薦めてくださってありがとうございます」
すると郁香は何か思い出した感じを出すと
「あ、そうだ。確かあの作品、アニメになっていたからもしよかったら見てみるのもいいかも。自分の想像だけでは理解できない部分を補ってくれるかもしれないし」
と教えてくれた。
「へ~アニメってそんな風な見方があるんですね。なんかちょっと偏見持っていました」
「そうなんだよね~。私も最初はそうだった。だけど意外と日本人よりも外国人が見ているっていうし、小説ではわかりにくいところを補ってくれるかもしれないから見てみるのはありかなって」
「わかりました。こんど見てみますね」
と他愛のないような話をしながら階段を上っていると、近くを通りかかった女子生徒が
「アニメだって、だっさ~」
とこちらにも聞こえるような声で言っていたが無視をした。相手のことをけなすようなことを言っているような人間に食って掛かってもいいことはないからだ。しかし郁香が少し悲しそうな顔をしていたことが大地は引っ掛かったまま別れた。