彼と彼女の距離感
一部タイプミス等ありましたので編集させていただきました。
翌日学校に珍しく遅刻せず登校した大地は、昇降口で郁香を見つけた。
「おはようございます。桜井先輩」
「あ、おはよう山倉君」
と朝の挨拶を交わしていた大地の後ろから
「あれー?大地?おはよう今日は遅刻じゃないんだ。珍しいね」
と声がした。後ろを振り向くと大地のクラスメイト二人が立っていた。上西一馬と遊佐ありさだった。
「おはよう、一馬、ありさ。朝から二人で登校とはラブラブですな~」
そう一馬とありさは付き合っている。
「ち、ちが、いや違わないけど違う」
「照れなくてもいいって」
と茶化していると
「ありさも大地もそこまで。ところでそちらの方は?」
と言い一馬は大地の後ろを見ていた。そこにはあっけにとられた感じで郁香が立っていた。
「え?あ!すみません。彼女は桜井先輩。同じ図書委員なんだ。先輩、俺の幼馴染の一馬とありさです。」
そういって大地は一馬とありさを紹介した。郁香は
「初めまして、3年の桜井郁香です。よろしくね」
一馬とありさは驚いていた。
「まさか、大地に先輩の知り合いができるとは…大人になったな」
「よろこばしいことなのだけど…なんだろうすごく寂しい」
と泣いた振りをしながら言った。
「お前らは俺の親か!そろいもそろって似たような反応しやがって、だいたい中学のときも知り合いはいたわ」
と大地が反論すると二人は
「これでも大地のことは何でも知っているつもりだったから」
「つーか、中学のときは部活していたから当たり前じゃん」
と返してきた。
大地は何も言い返せなかった。すると郁香が
「中学のころは部活していたの?ならどうしてやめたの?」
「それは、いろいろありまして」
すると郁香は罰が悪そうに
「ご、ごめん聞いちゃだめだった感じだね」
「い、いえ大丈夫です」
「あ、もうすぐチャイムなるね、じゃあ私先に行くね。山倉君またね」
と言い駆け足で教室へ向かっていった。
「はい、また」
いつか話さないといけないな、と思いながら大地は別れをどこか心のどこかで惜しんでいた。
しかし、その気持ちに気づかず
「じゃあ俺らも教室行こう」
といい教室に向かった。