キャラ屋
『キャラクター屋
ーキャラ、性格、個性を思いのままにー』
「キャラクター屋?なんだそりゃ?」
昨日までなかったヘンテコな看板に足を止めつぶやいた。
「ごめんなさい、あなたのキャラ好きになれないわ」
とこないだ振られた俺は気になっていたのもあり、フラフラと店の中に吸い込まれた。
「いらっしゃい、性格、キャラ、個性、なにを変えたい?」
暗い店の中、店主がぬっと聞いて来た。
「キャラを変えたくなったんだ。」
「キャラ?最近変えるお客さん多いんだよな、もしかして振られたとかか?」
なかなか鋭い店主だ。これは期待できるな。
「まぁ、そんなところだ。ところでどんなキャラが人気なんだ?それに変えたいと思う。」
「やっぱりな、最近で人気のキャラはクール系だな。たまにクールな雰囲気を出しておけばウケること間違いなしだ。」
「クールか、なかなか悪くなさそうだな。じゃぁそれを頂こう。」
「はいよ、お代は1万円だ。微調整をしたくなったらまた来てくれその時は五千円程度かかるがな」
なかなか高いなと思いつつ店主に金を支払った。
「あいよ、じゃぁ今から取り掛かるぜ」
店主は凄そうな呪文を唱え始めた。
しばらくして
「ほら、これでクールな雰囲気が出始めてるはずだ。いい感じになったな。」
確かに少し変わったような気がする。
「ありがとよ、また用があったら来るよ。」
満足げに俺は店を出た。
…………………
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……
…
ガランとした暗い店の中。
「キャラクター性や性格、個性なんて自分の思い込み次第で変えれるのさ。思い込ませるだけで金が入るなんてこの仕事はやめれぇな。」
店主は一人つぶやいた。