一章
どもども
この作品は前に書いていた。
『こんな学校だなんて思わなかった!』のリメイクしたような感じなんですが、まったく文章を変えているのでいただけるとうれしいです
第一章
すぅー、すぅー。六畳ほどの部屋に寝息がひとつ。
その人物はいい夢でも見ているのではないかと思えるほどの寝顔っぷりであった。
こんな顔をされていては起こすのも躊躇うほどにもかかわらず、音も気配もなくベッドの脇に立っているもう一人の人物は顔の高さまで振り上げた拳を手加減なく、寝ている人物へと振り下ろす。
ぼすんというなんとも間抜けな音がした。それは先ほどまで顔の位置にあった場所に拳を振り下ろしたのだが、拳を避けて枕を殴った音だったからだ。
すぅーすぅーとまだ寝息している。
「だぁぁぁぁぁ!何で寝ているのに避けれるのよ!」
今の音もなく出した本気の攻撃がいとも容易く避けられたことに腹を立てていた。
「んむぅ、・・・麻奈か?何でこんな・・・。
何でこんなところにいるんだよ!」
先ほどまで寝ぼけていたが、思わず突っ込みを入れてしまったせいで覚醒してしまった。
もう少し寝ていたかったのだがこの麻奈という人物は武術を嗜んでいるので寝ようにも寝たら殴られる。
「まったく、今日が何の日なのかわかっているの?」
「・・・さぁ?」
「・・・ッシ!」
「うおぉ!やめろよ!」
「っち!・・・どうせ当たらないでしょ?」
急に殴ってきやがった!
しかも舌打ちまでご丁寧に入れてきやがりましたよ。
女なんだからもう少しはお淑やかに・・・うぉ!
「あにすんだよ!」
「別に~?ただ、失礼なことを考えているような気がしたから~。」
「・・・・・・・。」
幼馴染だからなのかわからないが、俺の考えていることを当ててくるのは心臓に悪すぎる。
俺は大きな欠伸をひとつ噛み締めて、上着を手にかけようとしたところで不意に気づく。
「・・・・・・なんで、麻奈はここにいるんだ?」
「・・・・・・あんたは意味もなく私がここに来ると思ってるの?」
「そんなことはないが、たまにあるからなぁ・・・。」
家が近所にあるので何かと世話をしてくれるのはありがたいのだが昔はともかく、今ではそれなりに成長しているわけで、健全な男子である俺にとってはドギマギするというかいろいろと落ち着かなくなるのだ。
「それで、なんで麻奈は俺んちに?」
「はぁ~・・・。ほんとに何も知らなかったのね・・・。」
今日って別に何もないはずだけど・・・。
カレンダーを見て今日が何日、何曜日なのかを確認して、考えてみる。
なぜ、麻奈が俺の家に来て起こしにきたのかを。
「今日は入学式なんだけど、覚えてるの?」
「・・・・・・あ。」
思い出した、今日は俺たちが高校生となる日だということをすっぱり忘れていた。
大慌てで準備しようにも、今思い出したことなので何も準備は出来ていなかった。
ひとまず麻奈だけでも先に行かせないと俺と一緒に遅刻してしまう。
「うわっちゃ~、今日だったのか・・・。
すまん、麻奈。先に行ってくれ、俺も後で追いかける。」
「はぁ~・・・。昨日のうちに連絡しとけばよかったわね。
わかった、急いで準備してくるのよ。」
「着てくれたのにすまんな。」
「いいわよ別に。・・・・・・本当は一緒に行きたかったのに。
服装のこともほめてくれないし・・・・・・。」
「なんか言ったか?」
「べっつに~。」
う~ん、何かごにょごにょと言っていたのはわかったんだが、何て言ったんだろうな。
最初のところはわかったんだけど・・・・・・。
まさか、怒らしてしまったか・・・。いや、でもそんな感じでもなかったはずなんだけどな~
・・・まったくわからん。
考えることをやめて、いそいそと着替えることにした。
制服に着替え終え、かばんを持ち、顔を洗いに洗面所へ。
歯を磨いているところに姉さんが現れた。
「おいおい、真司よ。せっかく私が薦めた学校にいきなり遅刻する気か?
今が何時なのか知っているのか、ばかたれ。」
いきなり来たかと思えば俺の姉、早瀬 玲。
今は何をやっているのか知らないけど、一時期はヘルプで教師をやっていたらしい。
今回も教師の仕事をするみたいなんだけど、まぁそれは置いといて・・・。
「推薦してくれるのはうれしいけど、これでも急いでいるほうだよ。」
「まったく・・・。急げよ!私は先に出るから家の戸締りよろしく。」
姉さんが家を出るのと同時に全ての準備を終わらせ、急いで時計を見るともう8時を過ぎていた。
「本格的にやべぇ・・・。もし麻奈が起こしに来てくれなかったらと思うと・・・。」
かばんをひったくるように持ち、玄関へダッシュ!
靴を履いたところでひとつ忘れていたことを思い出し、リビングにある仏壇の前まで行き手を合わせる。
「じっちゃん、俺は高校生になったよ。今でも皆元気にしてる、ほんとはじっちゃんにも見せてやりたかったよ。それじゃ、行ってくる!」
仏壇に供えてある刀を手に取り、少しだけ抜き、カチリとまた収める。
これがじっちゃんとの挨拶みたいなものだ。
きっとじっちゃんを超える剣士になって見せるよ。約束だからな。
「いってきます!」
挨拶も済み、急いで学校へと向かった。
どうでしたか?
この作品はあくまで手が空いたときにしかできないので更新ペースは適当になるかもしれないのでそこのところはご了承ください。