一方、悪魔の世界にて① (視点 作者)
「とうとうハミルが人間界に降りたか。」
男は微笑みながら言った。
サラとハミルが天界から降りたの、この悪魔の王国で2番目の権力を持つこの男、ルシアンはいち早く察知した。
「これでようやく我々が動きやすくなる。後は天界に封印されてしまっている、悪魔の鋏を手に入れさえすれば…。」
男は続けて呟く。
説明しよう、悪魔の鋏とは、悪魔の力が大量に込められた鋏である。
その鋏で天使の羽を切るとその天使は悪魔となってしまい、人間を刺すとその人間も悪魔となってしまう恐ろしい鋏である。
かつて悪魔の王国の女王ラーナは、その鋏を使って人間界を征服しようとしたが、ミカエルはラーナから鋏を奪い、ラーナを消滅させた。
ミカエルはその鋏を破壊しようとしたが壊れず、やむなく城に持ち帰り、地下にある部屋に封印した。
今もなおその鋏は、ミカエルの一家しか触れられないような特別な封印が施されている。
なのでルシアン達悪魔は、長い間鋏を取り返す方法とラーナを甦らせる方法について頭を悩ませているのである。
「こうなったらハミルをここに連れてきて囮となってもらうしかないか…。」
「ルシアン様!。」
「!?おお、シーアか。」
ルシアンの前に1人の女の悪魔が現れた。
「この私がハミルを捕まえてみせます!どうか私に行かせてください!。」
「そうか…では頼んだ。もし成功したら私の右腕となってもらおう。」
「はい!頑張ります!。」
シーアという悪魔は城を出て、人間界へと飛び立って行った。
「シーアは下っぱだからすぐ倒されるだろうな。まぁお手並み拝見だな。」
ルシアンは笑って言った。
そう言われていることも知らずシーアは恍惚とした表情で、
「愛しのルシアン様が私を頼ってくださってる!ぜひともハミルを捕まえてルシアン様の右腕となってみせるわ!。」
と言った。
そしてとうとうシーアは響也達の住む街に着き、気配を辿ってハミルの元へ行くのであった…。