8/3 兄弟喧嘩3 ARIKAお手伝い隙間時間
「公んとこさ、兄弟喧嘩とかある?」
「あるよ?」
ふと気がつくと隆維が公志郎に話しかけてた。
ネタは兄弟げんか。
「天音と?」
「なんで天音ちゃんと喧嘩するのさ。あるわけないじゃん」
不思議そうに言い切る公志郎。
食器を洗う公志郎に食器を拭いていく隆維。
「じゃあ、宗一郎にぃちゃんと?」
「まさか。宗兄に不満なんかないし」
なんだろう? どーでもいいって言わんばかりのような?
「鈴音ちゃんと天音?」
「ないない。叔父さん世代じゃなくてオレの兄弟間喧嘩だろ?」
「うん」
「オレと恭兄はよく喧嘩するんだよねー」
「恭兄?」
「ウチの長男。オレと恭兄がやりあうと基本被害が宗兄と天音ちゃんにいくのが問題かなー」
「天音に?」
「うん。オレへの嫌がらせの一環で、天音ちゃんに自分に使い勝手のいい友人とデートさせたり、まぁいろいろ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
何か方向性がおかしい気がする。
というか、友人の定義に入るんだ。使い勝手がいい相手って。
宗一郎さんもおかしいけど、公志郎もおかしい。多分、長男って人もおかしい。
そもそも、なんで天音ちゃんがそんな相手とのデートをオッケーする?!
想像つかねー。
「天音ちゃんも恭兄に逆らう様な真似しないからね。まぁ、問題の強い相手だったら絶対邪魔するし、行き過ぎてそうなら宗兄をスケープゴートにするし」
ほんわり笑って言う公志郎が怖い。
「黒い。黒いぞ。公」
「褒めてくれてありがとー」
「ほめてねぇよ」
「ウチの家では褒め言葉だよ。ま、父さんはあんまりそういう風潮が好きじゃないみたいだけどね」
「そうなんだ?」
「うん。だから、天音ちゃんと宗兄をうろなに来させてオレと恭兄は元の家に居続けなんだと思う。かなり向こうの家は冷戦状態だけどね」
あー。被害が他所に出ないように対処されてるんだ。
兄妹を親の意思で引き離すほどの対処が必要と考えられてるんだ。
仲いいと思ってたけどやな兄妹だな。
「冷戦」
「表面的な暖かな家族会話ほどうすら寒いものはないよ」
だからにこやかに言わないで。怖いから。
「仲直り法は?」
「ないね。基本相容れないから」
はやい。返しが早いよ公志郎。
「実は鎮兄と千秋兄が」
「あー。あれ、喧嘩中?」
やっぱりって口調で首をかしげる公志郎。
「うん。話し合う予定がなんかこじれたらしくってさー。ほら、俺涼維と喧嘩しないしさー」
「え。まじで?」
「するわけないしー。涼維がすねたらぎゅっとしてやればだいたい機嫌直すし」
「なんかそれはそれでひでー」
ぇ。
アレって実はごまかされていたの?
「おー。涼維。その荷物はー?」
カラスマントが俺の頭を肘置きにする。
のしっとかかってくる重量が重い。
でも昨夜ガラスで切ったばかりなのを知ってるので今日は放置。
「家出グッズ。鎮兄仕様」
「あー。サンキュー」
「一日一回は連絡だって」
「あいあい」
「仲直りしないの?」
「んー」
「帰ってこないの?」
「ちょっと間をあけるー」
特に何も言わずに千秋兄が時々こちらを伺っていた。
夏の間はビーチでカラスマント予定。
ノワールは呼ばれないとでてきませんw




