表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/823

水着コン4


「カラスマント、ノワール。水分補給完了いたしました」

報告と共にピシッと敬礼するノワール。


「はい。ご苦労様~じゃあ返すわね」

進行権を返されたノワールは果穂が手を振りながら舞台裏に戻るのを見送る。

「では、美女の紹介を続けます。うろな高校の妖艶なる花。恵美さん」

「春は可憐な桜。出会いと別れ。夏は高く青い空にわく入道雲。どこまでも青く澄んだわれらがうろなの海。秋は紅葉。山は朱に染まる。冬は美しき雪景色。シンとすべてが覆われる」

少しは違うがどこかで聞いたような口上と共に薄いTシャツを脱ぎ捨て、黒のビキニ姿をさらす少女。

くっきりと描かれる谷間に、脱ぎ捨てるその動きに男達は魂を吸い取られる。



カラスマントが脱ぎ捨てられたTシャツを回収する。

「写真集うろなの四季より」

一冊の本を手ににこりと笑う恵美。

亜麻色の髪、藍色の瞳。あえて豊かな胸元を隠すように抱えられた写真集。



ーーーあの写真集になりたいーーー



「そんな写真集があったのか」

カラスマントが呟く。

「うろな町の写真家の人たちが数人集まって自費出版された本よ」

カラスマントに言い聞かすように恵美が笑う。

「ライフセーバーの皆様がこのうろなに来てくれるのは夏ですもの。もっとこの町を知ってほしくて」


観客席でうっとりと魂の抜ける吐息がそこかしこで聞こえる。


「商店街書店にて在庫僅かです」

ノワールが言葉を添える。


「ぜひ見てくださいね」




◇◇◇




「さて、今回の美少女たちは少し異色となります」

「うん? 異色?」

ノワールの言葉にカラスマントが首をかしげる。

「今まで以上に?」

おそらく素直な発言なのだろう。


「では、どうぞ」

カラスマントの疑問をスルーしてノワールが舞台端を指し示す。

「え? エスコートは?」



「桜咲 呉羽です」

肩にフリル飾りのある濃紺のワンピース水着。ワンピースと一体化しているパレオのような生地がひざ下までを覆う。

ひざ下までの生地から垣間見える太ももが眩しい。

恥らうように微笑を浮かべる。


「狐ノ派 静月だ」

水色のビキニにシャツを羽織ったボーイッシュ、(しかし少女らしさが損なわれてはいない)少女。

白銀の髪にスッと入ったメッシュが印象に残る。


「芝姫 凛です」

可憐な少女らしさを引き立てる甘いラインを描くコーラルピンクの水着はワンピースタイプ、スカートから伸びる足はしなやかで健康的だ。




「うむ。三人ともそれぞれの美しさがある」


カラスマントの言葉に少女たちは顔を見合わせて笑いあう。


ノワールもうんうんと頷く。


「しかし彼女らの心は一人の人にとらわれているのです」


「は?」

ノワールの言葉にカラスマントが間の抜けた声を上げる。

視線を向けられてこくりと頷くノワール。


カラスマントとしては今まで恋人とかいても普通にやってたのに?と言う思いがある。


『誰が一番か決めてください! 零音君!』


それぞれに色っぽいポーズで会場内にいるであろう男に向けてメッセージを放つ。


会場内の男衆はきょろきょろと周囲を見回し、一発ぼこってやりたいと言う表情を隠さない。


「決めてやれよーれおんくーん」

親切なやつなんかはそう声を上げる。



「青春だねぇ」『初々しいわぁ』会場内は批判と肯定でカオスだ。






まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ