水着コン裏
熱中症対策中
「水分、とってらっしゃーい」
果穂先生の司会二人に対するそれはすでに強制命令だった。
客席からも「いってこーい」と声が飛ぶ。
「ではお言葉に甘えて。一旦この場はお任せいたします」
「はーい。まっかせてー」
カラスマントとノワールの引っ込んだステージでは果穂先生による夏のすごし方注意がおこなわれている。
「大丈夫?」
そう、司会二人に声をかけるのは青空空。
その手にはスポーツドリンクの入ったコップを手にしている。
「むろんだ」
胸をそらすカラスマント。
「ありがとうございます。空さん」
「本当にどうしてそんな格好選んだの?」
心配そうな田中倫子。
何しろ今回司会の二人は両方とも自分が教師を勤めるうろな高校の生徒だ。
ある意味カラスマントに関してはどんな格好を選んだとしても「ああ、この子なら」と言う思いは多少あるといえるが、ノワールの方は本来の中身の生徒に「大人しい」印象しかなかった分、驚きがある。
ただ引きずられてるのならとカラスマントを見る。
見られていることに気がついたカラスマントが手と首を振ってわからないなりに否定する。
「俺、悪くないから。こいつの衣装は俺何もかんでないから」
「そうよねぇ、カラスマントの方がおされてるものねぇ」
ゆったりしたTシャツ越しに透けて見えるビキニライン。
「恵美ちゃんキッツーイ。事実だけど」
「カラスマント。水分補給。あと、予備のマントと交換しておいた方がいいですよ」
「お、おう。お前は?」
「もうシャツ替えました。霧島先輩、お願いしていた件、よろしいでしょうか?」
「ええ。ちゃんと承知してるわ」
ふふっと妖艶に笑ってみせる霧島恵美。
クーラーボックスから取り出される予備マント。カラスマントはマントを取り替えながらノワールと霧島恵美の間で交わされる会話に首をかしげる。
「私にも何か呼び名を付けてくれるのかしら?」
「……エロイン? でしたっけ?」




