23日の中学廊下 連絡のお願い。
「清水せんせー」
隆維はけっこう清水先生に懐いている。
天音ちゃんがそんな隆維から距離をとっている。
「賀川さんの彼女さんの連絡先知ってますかー?」
だから、梅原先生に聞くネタをどーして清水先生に聞くんだ。お前は。
「あと、素直じゃない女の子の落とし方教え……」
最後まで言えずに天音ちゃんに背後から殴られてた。
「さいってー」
天音ちゃん、そう言うとたぶん教室へ戻って行った。
「照れ屋さん?」
「それで済ませるのはどうかと。と言うか露骨にアピールするようになったよね」
天音ちゃんに対する行動が理由のわかるものにはなったけど、相変わらず突発行動だ。
「だってもうばれてるし、隠すだけ無駄だろ?」
けろりと隆維は言う。
「何か用事があるのか?」
「だから、口説き方。え? そっちじゃない。ぁ、うん。天音が聞きたい? 伝えたい?ことあるみたいでさー」
なぜ疑問符?
「まぁ問題のものはウチにあるんだけどさ」
「隆維。話題が見えないよ?」
「一度、目を通して欲しいものがあるってこと。あの白いおねぇさんに」
「隆維!」
「そっちに話通すまであんまり見られたくないって天音が言うんだよ」
だから、こっちにも話を回さなかったと暗に言われてカチンとくる。
今までそんなことなかったのに。
「伝えておくよ」
そう言った清水先生は笑いをこらえていた。
「あ~、せんせー」
「ん?」
「モールとかにツテある~? 水着コンの司会二人が挨拶回りしてるんだけどモールの方にはあんまりツテがないんだってー」
そういえば、宗一郎さんが鎮兄連れて困ってたっけ?
「役立たずなりに鎮兄もついていってるけどねー」
「司会のもう一人のほうがスポンサーにも利益があってこそのイベントだ!って 挨拶も提供側の情報も何もないのにぶちきれて遅れすぎてるけどとぼやきつつ、ウチの父さんから状況とか聞いて22日から走り回ってる」
「だから、ツテがあったらよろしくー」
「巻き込まれた天音ちゃんのお兄さんがかわいそうだからよろしくー」
チャイムが鳴りそうだったのでそれぞれ教室に戻った。
清水先生借りてます。




