るぅるぅ墜落紀行・偶発編☆空腹との戦い?
昼時です。
「……」
「……」
見つめ合う。
したッと右前手を上げる。
「るぅるぅなのだ。迷子でお腹が空いているのだ」
「うなーー」
「るぅるぅは猫は食べないのだ。だいじょぶなのだ」
「うな」
「どこに行けばご飯にありつけるかわからないのだ」
「うなぁ」
「商店街? いってみるのだ!」
「ぅなー」
「ありがとうなのだー」
可愛い猫ちゃんだったのだ。
梅雨ちゃん。
花が雨のように降る様がイメージされる。
名付け親のセンスがいいんだなー。
「お腹空いたのだー」
のこのこ這いずりながら、周囲を見回す。
踏まれそうでむちゃくちゃ怖い。
空は猛禽類が怖くて地上は歩く足が怖いのか。
小さな生物にすぎない自分が口惜しい。
大人になったらおっきいけどね。
「お腹空いたのだー」
目の前にいる河童。
この世界にもいるんだなカッパ。
目が悪いのか視力矯正用の道具をつけている。
うまそうなものを食っている。
ほこほこと湯気の立つ丸っこい物体。
揚げ物の類だと思う。
河童は周囲を見回した後、半分に割ったソレを分けてくれた。
「ウマ〜のだ。ありがとーなのふぁ」
イヤなと言うか危険な気配を感じ硬直する。
ゴミ置き場の隅から観察。
それはヒトの姿をしていた。
普段なら美しいと魅せられる少女。
構えっとなつきたくなるような少女だ。
しかし
本能がそれをしてはいけないと訴えてくる。
横には狐の少年がいる。
二人とも術者のようだ。
るぅるぅに気がついたらしい少年がギョッとしたように反応する。
るぅるぅは、……るぅるぅは少しゴミの中に埋もれる。
隠れてるのアピールが通じたらしく、少年が少女を誘導して何処かへ行ってくれた。
るぅるぅ ……ゴミまみれ……
呆然としてるとヒョイっと持ち上げられた。
そして何処かへと運ばれる。
揺れが気持ちよくてうとうと
「おなかすいたのだ」
呟くと目の前に緑の皮に包まれた肉料理が下りてきた。
顔を上げると、そこには赤い鼻高面の男がるぅるぅを見下ろしていた。
梅雨ちゃん、魚沼 鉄太先生、稲荷山君、芦屋さん天狗仮面お借りしています。




