7/8 高校の一幕
早川英
トラブル目撃する
教室にふらっと二年の日生先輩が覗きに来た。
夏の勧誘以外はあまり目立たないけど、毎年恒例になってれば十二分に有名だろう。
しかも週末の夏祭りでは怪人やってたし。
きょろりと教室を見回してにやりと笑った。
千秋先輩ではないのがよっくわかる笑い方だ。
おれと目が合うと軽く手を上げてきた。
そのまま、六月に転入してきた山辺の席へ向かう。
「ひっさー。べるべるちゃんのおにーちゃん。週末お祭り来てなかったねー」
「あ。セリちゃんのお兄さん」
お互いを「だれだれの兄」で認識しあってる不可思議な関係らしい。
授業以外で山辺の声聞いたの久々かな?
「今日、放課後ちょおーっと付き合ってくんない?」
にこにこと鎮先輩が誘う。
周りがどよめく。
ナニ目を付けられたんだろうという視線が山辺に集まる。
「あ。べるべるちゃんと天音ちゃんのメアドはキープってるから断ったらそっちに泣きつくからね」
脅した。
「じゃ、放課後にー」
そう言うと返事を待たずに教室を出て行った。
嵐のような先輩の来訪だった。
哀れ山辺は力尽きていた。
声をかけてやりたい気もしたが付き合いもないのでそっとしておくことにした。
それよりも今日の料理部特殊会合ってなんだろうってことのほうが気になるしなー。
放課後、調理室に行くと部長がこぶしを振り上げる練習をしていて驚いた。
うん。麻衣ちゃんってそんな感じ。
村瀬先輩がその様子をにこにこ見守っている。
おっとり穏やか癒し系の先輩ってかわいいと思う。
なぜか紬先輩に哀れみの視線をおくられる。
会合が始まる。
「夏のーー!!」
麻衣ちゃんが腕を振り上げる。
「おー」
気の抜けた合いの手を副部長の村瀬先輩が入れる。
「恒例ーー」
「まじ?」「うんマジ」
聞く千秋先輩答える菊花先輩。
「料理特訓ウィーク!!」
なんですかそれは?
「現在部員七名、目標は各学年一人は調理できる部員がいることー」
えっと?
「え?!」
料理なんかできねぇ!




