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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
370/823

2/1 バレンタインに向けて☆

「天音おねーちゃん」

「ん?」

「バレンタインチョコをね、手作りしようよ! おじいさまとーパパとーお兄ちゃん達とー日生のお兄ちゃんたちに!」

「マジ?」

「うん!!」

 嬉々としてどんなチョコを作ろうか楽しそうな鈴音を見つめる。

「じゃあ、お菓子作りの本選びからだね」

 鈴音がポムっと手を打つ。

「手作りチョコ♪ サイト巡りからかなー」

「私としてはシンプルにチョコチップクッキーとかがいいんじゃないかと思うなぁ」

「えー。それってクッキー」

「じゃあ混ぜるだけのチョコレートムースとか」

「えー。手作り感ないよぅ」

 提案するものを不満そうに否定気味な鈴音。

 料理なんかしたことはないはずだ。

 何故いきなり難易度の高そうなのを作りたそう?


 家族は基本鈴音を甘やかす。

 お母さんを知らずに育った子だから。

 それはマァわからなくもないんだけど。

 人形用の着物を新しく仕立てながらサイトを眺めている鈴音を後ろから見守る。

 ……どこにヘルプ出そう?




 ◇



「バレンタインが近づきましたー」

「んー?」

「今年は料理部以外から貰えるかなー?」

 隆維のフリになに言い出すの? みたいな表情で茹で過ぎのシェルマカロニをつつく鎮兄。

 千秋兄は他から貰えるかの期待。わかんなくもない。

「逆チョコをいたしましょー。というか、日本のイベントでは女性が男性にだけど、本来日頃の感謝を伝える日のひとつだし♪」

 まぁそうなんだけどさ。

 ごうにいってはごうにしたがえって言うらしいじゃん。

 現地風習に合わせようよー。

「あー。そう言えば芹香とかって友チョコ交換とかあんのかなぁ?」

「去年はなかったと思うけど? あるかもねー。準備しといた方がいいかなぁ」

「だよなー。やっぱ、手作り系?」

「そうだね。こるお母さんは凝るからね」

 鎮兄と千秋兄はいつの間にやら保護者の会話になっている。

 町にある派閥とかには詳しくないくせにそう言う井戸端的なものは拾ってくる情報網ってどうかと思う。

 何処そこのお母さんは「生チョコタッパーで大量作成らしい」とか「個別包装用のラッピング資材足りたっけ」とか情報イラナイから。

「鎮兄はバレンタインプレゼント空ねぇにしないの?」

 隆維が不思議そうに聞く。

 沈黙が返った。

「ま、それはさて置いてだ。チョコはとりあえず作ろう!」

「そりゃ、チョコにこだわる必要はないと思うけどね。クッキーとかでいいんじゃない? 友チョコ用はチョコディップしちゃえばいいし」

 鎮兄。

「鎮兄は確実に空ねぇから本命チョコげっとだよねー。いいなー。うらやましいなー」

 ついつつくと隆維も面白そうに乗ってくる。

「そしてホワイトデーには三倍返しをするためにバレンタインは気がついてないふりとかー?」

『ねー』


空ちゃん話題にお名前借りてます。

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