12/31 年末
バート兄ちゃんはあーやおばさんと仲がいいらしく、よく二人で喋っている。
口論めいたものに発展していることもあるけれど、どうやら研究的な議論であり、有意義とみなされる会話らしい。
つーか、戦力外の俺がそう思うのはダメかもしれないけど、掃除してねーよな。この二人。
きっと、父さんに叱られるに違いない。叱られるっつーか、うん、まぁ、謝る姿が想像つくな。
後は千秋兄を怒らせるのが得意で、鎮兄を丸め込むのが得意だ。まぁ鎮兄を丸め込むのって難しくはなさそうに見えるけどね。
バート兄ちゃんが言うスキンシップ。
ハグやキスがそうだ。
でもさ、長く離れてた血のつながりの一切ないきょうだいなんだよね。
もう少し、控えない?
俺だって涼維とするぐらいだよなー。
鎮兄にはひたすら過剰とも言えるスキンシップ。
千秋兄にはひたすら怒らせるような形のスキンシップ。
使い分けないから千秋兄を怒らせるわけでなく、その対応が千秋兄を怒らせて黙ってられなくさせると故意に取られる態度。
どちらかというと無反応なのは鎮兄。
そんな風に思って見てるとバート兄ちゃんに笑われた。
「悪戯は好き?」
「自分が主導ならね。千秋兄を追い詰めないで欲しいんだけど?」
「追い詰める気はないよ?」
でもさ、兄ちゃんのせいでイライラ酷いんだけど?
「お昼寝したら早く起きれる?」
「初日の出とじょやの鐘!」
横からの甲高い声。
「除夜の鐘を聞いてから数時間して初日の出だな」
妹たちの疑問。
小学校低学年が夜中に起きてようとするんじゃねーよ。
十二時までをトライしていいのは五年生からってもんだ。
順番を修正。それだけでミアとノアがはしゃぐ。
おにーちゃんパズルにはまってるんだけどな。バート兄ちゃん、なんでだめなのといわんばかりの表情してんのはなんで?
「みれる?」
「除夜の鐘はダメ。朝起きれたら初日の出は見にいけるかな」
海で観れるから近場だ。
「今日の晩御飯はー?」
「ARIKAでお蕎麦だって」
『お蕎麦ー』
きゃーきゃーはしゃぐミアとノア。
「お正月はおせちとお雑煮だね」
バート兄ちゃんがにこにこと二人に話を振る。
二人は顔を見合わせる。
「お雑煮ってなぁに?」
「栗きんとんは甘くて好き」
あれって顔でバート兄ちゃんが見てくる。
鎮・千秋兄はお餅系結構好きなんだけど、あの粘ついて喉に詰まりそうな食感が俺は好きじゃない。アラレとかなら好きだけどさ。
まぁ初めて食べた時の印象が悪いだけだけどさ。
「お雑煮はお雑煮だね。お正月の食べ物。お餅が入った汁物だよ」
「おもち?」
妹たちが不思議そうに首を傾げた。
「ベタベタしてて、ぐにーって伸びて手とか顔とかについたらはずれにくくて乾いたらパリパリになって、痛かったりで、大変だし。そして無事、飲み込んだら窒息の恐れのある正月特有の食品だよ」
「こわい!!」
「死んじゃう!?」
バート兄ちゃんが微妙な表情で俺を見てきた。
涼維、早くそばに戻ってこないかな。
鎮兄、初詣空ねぇ誘うのかなぁ?




