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クリスマスデート☆プレゼント


 気持ち、他にも人のいる外食のほうが良かったかなと思わなくもない。


 妙な緊張感に負けている気がする。










 プレゼントの山ん中に混ぜればよかった。

 なんで、テーブルの上にこれ見よがしに置いたんだよ俺!?




「さっき、なかったよね?」



 並べてる時は会話の方に気をとられてて気がついてなかったのか、あえて見ない振りして俺が話を振るのを待っててくれたのかどっちだぁああ。


 心持ち恥ずかしそうな表情はかわいいけど、どう対応していいのか混乱してる。



「鎮、君?」


「うん。さっき置いた」


 正直に答えて、ひとつ呼吸を整える。


「クリスマスプレゼント」








 ちょっと待て俺、どうしてそこで台詞が止まる。

「混ぜておいて、見つけてって言うのもいいかなって思ったんだけどさ。一番に、あけて欲しい気もして、さ」


 うわー。

 言ってて自分でかっこ悪い。



 だめ、だなぁ。落ち込みそうだ。


「あ。大丈夫。猫耳は入ってねーから」


 空ねぇの目は小箱を見ていて。

 ふいに顔を上げた。


「あけていい?」



「あ。もちろん」


 モノはシルバーの三日月ペンダント。

 銀のほっそりとした縁の中には青みがかったムーンストーン。金色の小さな翼をもつたまごが寄り添っている。


 気に入ってもらえるかはわからない。


 しゅるりとリボンを解く音や、包みを開ける紙の音がやたら大きく聞こえる。


 目をそらしたいような、見た瞬間を見逃したくないような複雑な気分。


 結局のところ、目が離せない。


 蓋を開けて確認している。その指先を、表情を追う。


 なんか、キリキリする。



 ふわっと空ねぇの表情が明るくなる。


「かわいい」



 ソレ、俺のセリフです。


「見たときにさ、空ちゃんにそれがいいと思ったんだ。喜んでくれたんなら嬉しい」

「うん。ありがとう」

 ふわふわの笑顔にくらくらする。

「じゃ、冷めないうちに食おうぜ?」

「うん」






「ココであけてく? 持って帰ってあける? ちなみにアレは忘れていってもいいと思う」

 指差したものを見て空ねぇが笑う。

「だーめ。セリちゃんが頑張って作ってくれたんだよ?」

 そっと謎の物体(カラスマントマスコットだなんて認めねぇ)を優しく取り上げる空ねぇ。

「帰ってきたら家庭科の特訓かな。成果があるかどうかわかんないけどなー」

 母さんもセシリアママも家庭的なことはダメだしなー。

「負けず嫌いだもんね」

「そう、そう。甘やかされすぎててうまくいかないことが許せないってタイプだよなー」


 ふわり と空ねぇの手が髪に触れる。


「ピアス、気がつかなかったな」

「そりゃ、夏場はしねぇもん。クリスマス時期限定でピアスつけてるかな?」

 髪も基本的に隠れる長さにしてるし。中学時代は部活もあったし、クリスマス時期もつけてなかったくらいだ。

「いつあけたの?」

「んー? 生後一週間以内らしいよ? 流石に自分では覚えてないかなー」

 千秋との区別を付けやすくするためだったらしいけどなー。

「それは、覚えてたらすごいと思う」

「うん。無理」


 食べ終わってデザートのケーキをつつきながらテラスに降る雪を眺める。

「出る?」

「……少し、だけ?」

「転んだら、シャワーもあるし、な」

「転ばないから」

 むぅっと言い返す空ねぇの表情はかわいい。

 これが『いじめた時に見れる表情も好き』ってやつ?

 それなら確かに、

「空ちゃんのいろんな表情見てるの好きだよ」

 空ねぇが、固まった。



この後は荷物持ちしながら送って行ったんだと思うデス。

空ちゃん、お借りしてマシター。

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