12/25 旧水族館のクリスマス
沙夜香です。傍観中です。
びっくりした。
芹香にバート兄と呼ばれた青年は迷うことなく鎮に近づいて日本じゃまぁお目にかかれないようなスキンシップ行動に出た。
鎮は違和感を感じないようで何事もなかったかのように空ちゃんに彼を紹介している。
なにはなくとも。
例えそれが兄であろうとデート相手の前で他の相手とナチュラルにキスしてるんじゃない!
ついでに言うとお子様もいるっつーの!
ホモガラスの噂が立つよ?
「なかなかに激しいな」
黒サンタがそんなことを呟きながらツリー横のサンタ定位置にワゴンを一つ運んでくる。
千秋が隆維・涼維に兄の性癖説明をしていたし、芹香も反応的に行き過ぎって感じてるんだと思う。
「おお! 美味しそうッス!」
リズちゃんが嬉しそうに定位置に戻ってくる。
その声に子供達の注意が黒サンタの運ぶワゴンに向かう。
「シーザーサラダにサーモンのマリネ。フライドチキンにローストターキー、フライドポテト、パンプディングにブラッドオレンジジュース、ミックスベリーのショコラケーキとブッシュドノエル。どうだ。定番だろう!」
黒サンタは得意げだった。
その横でプレゼントボックスを開けた渚ちゃんは中から出てきた工具箱と精密ピンセットを見ていた。他のプレゼントもあるみたいで隆維達が他のも開けてーって横ではしゃいでる。
自分たちのは開けないのか?
チラッと見ているとハンカチやクリスマスベルのピンバッチ、ノートでも入っているのかっていうサイズの包み。アクセサリーでも入ってそうな小箱。
「ココまであるとどれが誰かわかりにくいよね♪」
隆維が嬉しそうに渚ちゃんに言ってる。
渚ちゃんはそんな隆維に向かってゆっくりと首を横に振る。
「そうでもない」
静かな返答にぴたりと隆維の動きが止まる。
「まじ?」
こくり頷く渚ちゃん。
「うーん。それは……、愛?」
「分析結果」
渚ちゃん、クール。
リズちゃん、空ちゃん借りっぱ中
渚ちゃん借りてます
きっとこの時点で日生家の意見は「鎮、さっさと出かけてろ」ですね




