12/25 旧水族館のクリスマス バトル!
勝負!
向かい合う、ブラックサンタとちょっとだぼついてるが正統派サンタの対決。
途中から来たので展開は読めない。
ツリーの横の席にはのんびりとミホが代わっている。
「それではゆくぞ!」
「負けないッスよ!!」
二人を取り巻く空気が『戦い』という感じになってきている。
コブシを握って見守る子供たち。
「じゃんけん!」
「ぽん!!」
じゃんけんだった。
しかもあいこ。
「むむぅ。やりおるな!」
「やるっスね!」
いや、じゃんけんだろ?
組んだ腕をねじってこぶしのむこうを覗く総督。
赤いサンタも手をにぎにぎしたり、腕を振ったり決着へ向けて余念がない。
「それでは……」
「いくッスよ!」
空気が再び緊迫する。
だから、じゃんけんだよね??
高速で繰り返されるあいこ合戦。
ちびっ子たちが「リズねーちゃんがんばれー」と応援を始める。
不敵に笑うブラックサンタ。(時々間違えて『サタン』って呼んでるチビッ子もいる)
キッとブラックサンタを睨むリズサンタ。
「あいこで」
「しょ!!」
それは勝負のついた瞬間。
「ふっ」
「や、やったッスよ!! 勝利っス!」
ニヒルに笑うブラックサタン、ぴょんぴょん飛び跳ねて勝利を喜ぶリズサンタ。
子供たちも大喜びだ。
それにしてもだぶついた衣装が子供っぽさを煽りつつも、激しい動きであまり位置の変わらない胸が微妙にあざとい。
「仕方あるまい。リクエストを言ってみるがいい! それともお任せか?」
ブラックサンタあくまでも偉そう。でも条件は飲むらしい。条件ってなんだ?
リズサンタがきょとんとしたふうになって、少し考え込んでいる。
「満足できるメニューを期待してるッスよ!」
「ふ。我がチョイスをしっかり味わってもらおうか!」
「期待してるっス!」
と、ココで一旦会話が途切れ、テンションが変わったブラックサンタがリズサンタに聞いていた。
「食えんものはあるのか? アレルギーとか」
「ないッス!」
「では、任せておけ」
「期待してるっス!」
なんだろう、さっきの期待してるっスっと今回のは同じセリフなのに感じる空気が違う気がする。
「野菜・肉・肉・果物だな」
総督の呟き。
「楽しみっス~」
え、えーっと、これってバトルで培われる信頼ってやつ?
まさか、ね?
じゃんけんだもんね?
「お迎え来たら出かけるし、三日ぐらい帰ってこないんだから、開けてみて!」
芹香が盛大にルールっていうか、マナー違反、まぁいいけど。
鎮も箱を開けて固まっている。
それは青い物体。
俺の方は黄色い毛糸の塊だけど、善意の解釈をして毛糸のたわし?
固まっている鎮に興味をもったのか、リズサンタがひょいっと覗き込む。
「鳥さんっスね」
何でわかるの!?
ひっそり俺と鎮の尊敬を集めたりズサンタがそこにいた。




