清水家梅原家結婚式にて②
子供たちが『お兄ちゃんの恋愛』で盛り上がっている。
結婚式だし、どうしてもそういう話題が盛り上がるよね。
……
何回目かな、人の結婚式に出るの。
友達の結婚式に、元彼の結婚式に先輩の結婚式に後輩の結婚式、あの子は三回くらい式して毎回呼んでくれてたなぁ。
『相談にのってくれたおかげでうまくいきました』
適当だったんだけどね。
『君が背中を押してくれたおかげだ』
最初私と付き合ってたよね?
いいんだけどねぇ。
まぁ、今回は幸いにもそういう複雑な思いを感じずにすむやつだから気楽ー。
宇美ちゃんと信弘君はいいバランスだと思うんだけど、見てる限り、信弘君があーやちゃんに手を差し出すのはイメージつかないし。
え、信弘君だと間違いなく式に呼ばれそう?
宇美ちゃん相手だと挙式なしはありえなさげだしなぁ。
記録がかさんでいくなぁ。
きょうの花嫁さんは小柄でかわいらしい印象。
優しい表情は『お母さん』だからかなと思わなくもない。
和んでいると芹香が空ちゃんゲットとか、隆維が天音ちゃん攻略って言ってるのを聞いて噴出しそうになった。
隆維がやってるのは涼維に天音ちゃんを意識させる工作だからちょっと攻略ポイントが違う。鈴音ちゃんはおまけか。と突っ込みどころ満載。
あっちゃんと目が合う。
「ないね」
「ないよね」
「あら、どうして?」
するりと梨沙さんが入ってくる。
「ココでばらしてぽしゃることになったら溝が深まるんでノーコメントで」
私もあっちゃんのそれに便乗して頷いておく。
太陽ちゃんは楽しそうにその様子を見て笑っている。
上の子達ほど、付き合いがあったわけじゃない分、まだ付き合いは浅く、警戒されてる状況で溝を作ったらやっていけない。
そっと他のテーブルも見回す。
なかなかに華やかで濃い。
数度にわたるお色直し。
あっちゃんもいろいろ気合入れて造っていた。
無茶な締め切りがある方が燃えるってその精神構造がわからない。
実際、通常仕事をしている人より、ある意味自由業のあっちゃんには時間調節がしやすい。デザインとサイズを貰って細かな微調整とアレンジ前までの仕立てを担当してたらしい。
普段ののんびりだらけた締め切りの自分都合生産より楽しくやりきり感があったらしい。
だからか、「少し仕事詰め込もうかなぁ」とか言ってたし。
ただ、あっちゃんの『少し』は洒落にならなかったりするんだけど。
欲しい才能は私が一番低い。
あっちゃんや、あーやちゃんの多芸多才さは正直うらやましい。
それのかわりのように『不運』もついてるような気がするからこそ羨まずに済んでるのかもとかって思うと自分の思考回路に落ち込みそうになる。
気分を切り替えて、花嫁さんと若い旦那様を見ていると幸せそうで、ふんわりとした気持ちになる。
二人を祝福したいと思うから、今日のような企画も成功しつつあるんだろうし。
一部、喧嘩のように罵声が飛んでたり、妙な敵意が飛んでいる気もするけど。おおむね、雰囲気はいい。
運送業者の格好をしたお兄さんたちが何度目かのお色直しのために二人を運び出して行った。
「楽しみね」
あーやちゃんがそう言って笑う。
「そうだねぇ。頑張ったよ」
あっちゃんもにこにこしている。
太陽ちゃんと海ちゃんがにまりというのが似合いそうな笑みを作った。
青空さんち継続お借りしてます。




