6/14 うろな高校お料理部2
うろな高校料理部は女子5名と男子2名の7人で構成されている。
うち4人が食べ専なのはご愛嬌。
部長は二年 鈴木麻衣子。食べ専。
副部長二年 村瀬愛子。家庭料理が趣味。
三年。加藤紬。洋菓子作りが好き。
二年。日生千秋。色々チャレンジ中。
二年。柳本菊花食べ専。
一年。早川英。食べ専。
一年。岡本栞。食べ専。
顧問。海老名真琴。
和気藹々と喋る声と、甘いにおいが調理室に広がる。
本日の作成物はロールケーキ。
副部長の村瀬さんは抹茶で和風ロールケーキ。
引退間近の加藤さんはチョコレートロールケーキ。
僕はさっぱりレモンクリームのロールケーキ。
「散らすチョコはホワイトで決まりよねー」
「早く食べたいー」
「小豆ホイップ完成ー」
「千秋ちゃんは作りながらなに死にそうな顔してるのかなー?」
今日は珍しく食べ専組がもう来ている。いつもならさぁ試食だというタイミングでくるのに。
「あした、おじさん主催のデスロードに連れ出されるんだ。死ねる」
「死ねるって、期末大丈夫なんですか? 影響ないんですか?」
食べ専岡本ちゃんが心配そうに聞いてくる。
「ぁ。そっかーそろそろ期末テストの時期かー」
「先輩。忘れてたんっすか」
早川があきれた表情でぼそる。
「うん。すっかり」
あー。マジ死ねる。
「でも、試験の日程を忘れてるのは日生兄弟のデフォルトでしょ?」
中学からの付き合いの柳本がばらす。
「中学のとき、それで散々鬼小梅に注意されてたりしたよねー」
わぁ苦い思い出。
中一ん時はバタバタしてたからな。梅原先生には迷惑かけたかもー。メインは僕じゃなく鎮の方だったけどさ。
「というわけで今日は早めに帰って明日の準備があるのさー」
「あれ? 鍋島さんに試食してもらわないの? それ用の分、作ってたでしょ?」
「じゃあ、呼んでくるっすよ」
「今日は戸締りしといたげるから、中庭に呼び出すといいわ。行きなさい。早川君」
「らじゃっ」
部長命令にびしっと敬礼し、駆けて行く早川君。
「廊下は走っちゃだめよぉ~」
のんびりと言う村瀬さんに柳本が頭を振る。
「聞こえてないって。日生は渡せるように準備して早く中庭行きなさいよ。そのまま帰っていいし」
「いや、なに? そのびっくりしたって顔。いつも最終戸締りしてくれてるし、たまには麻衣子だって部長らしいことするわよ?」
「ガスの元栓はちゃんとしてくださいね?」
「だいじょーぶよぉ。エビちゃん呼びつけるから」
胸をそらし、鈴木部長が得意げに笑う。
「ではありがたく」
作成物をケーキボックスに入れ、調理室を出る。
少し時間を食ったから早く中庭に行かないとな。
中庭で時間がないことを謝罪しつつ、ボックスを渡す。
ボックスの中身はレモンクリームのロールケーキと真っ黒なチョコパイ生地で四角い箱状になったかぼちゃとサツマイモのパイ。
たぶん、スイーツにしてはやたらしっかり腹持ちがいい出来になってると思う。
「お友達か、家族と食べてね。明日、死ぬかもしれない苦行に出かけるから最悪、最後の思い出に味わって。生きて帰ってまた鍋島さんに食べてもらえるといいんだけど、ね」
「にゃ?」
「じゃあ、今日は本当に時間なくてごめんね」
そう、一方的に別れた。
明日のランチと休憩用茶菓子を自作するんなら買い物も行かないと。
おいしそうに食べてくれる鍋島さんを見てられないのは残念だけど、明日の非常食準備は切実だからなぁ。
商店街でルシエさんに遭遇した。
おじさんの奥さんでうろな総合病院でインターン生中。
「おなかをすかせてる高校生におばさんがあったかいものを奢ってあげるデす」
たぶん、本人が空腹中。
肉屋でコロッケを12個かって一個づつ歩き食う。
「コロッケまじウマデスネー。おばさん。さいこーデスヨー」
「ルシエちゃん、今度うちでもかっとくれよー」
「焼き鳥もイイですねー。チアキ。おばさんに任せるデすよ」
突っ込みたい。
食べたいメインはルシエさん本人でしょって。
ちらっと鍋島さん出てます。
料理部の構成員
部長は二年 鈴木麻衣子。食べ専。
副部長二年 村瀬愛子。家庭料理が趣味。
三年。加藤紬。洋菓子作りが好き。
二年。日生千秋。色々チャレンジ中。
二年。柳本菊花食べ専。
一年。早川英。食べ専。
一年。岡山栞。食べ専。
顧問。海老名真琴。




