表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/823

11/18 雇用促進

「飛鳥君、うろ高には慣れたかい?」

「あ。はい。先生たちも良い方です。現状ですと三日行って一日登校した扱いなのかもしれないですけど、まるっきりないのとは違うし、放課後補習授業に参加させてもらったりでちょっと新鮮です。全然レベルが違ってついていけないんですけど、今はちょっと楽しいですね。御迷惑かけてると思うのでちょっと心苦しいんですけどね」

 照れたように笑う日生ひなり飛鳥あすか君は現在十六才で高校二年生。

 彼女の本来通っている高校は定時制と通信制を併用採用し、最短三年。つまり普通の現役生と同じ期間で卒業可能なシステムを採用していたし、彼女もまた理想はそのプランでの卒業だった。

 ただうろな工場の立ち上げ、移動人員候補として選ばれた時点で三年以上かかりそうだなと意識を切り替えさせてしまったことだけが残念だ。

 若く、自立に意欲的な彼女の技能習得は得て不得手はあるが早く、優秀。

 設備の現場使用なら二~三日で最低限をマスターし、対応する。

 おかげで他の社員は緊急時以外は他の作業に当たったり、指導に当たる時間が取れる。

 大型設備を使っての操作やはんだ付け作業は得意とするが、その反面、目視判断のある検査作業系は苦手。

『ヘルツもオームもわかんないっ!!』と時々切れている。

 とりあえずそこは間違えないようにやってくれとしか言えない。


 実際、一月に一旦大阪本社工場に帰ったとしても次の設備投入で、うろなに呼び戻される予定だ。

 そばの定時制学校は隣町に一応はあるが終業時間後に行くと思えば遠い。

 大概は授業は五時半から九時まで。

 十六才の女の子が通学するには夜の隣町は避けさせたい。

「うーん」

「沢嶋先輩?」

「いや、なんでもないよ。本社から数人製造教育要員と資材担当者が正式に赴任したから今週から五時上がりで学校に寄るようにしたらいいよ」

「はい! ありがとうございます。でも忙しいときは遠慮なく言って下さいね!」

「友達はできたかい?」

「あー。身内がこっちに住んでいるんでその関係で友達はできましたよー。あ、そういえば、この町で先月末に散策してたら何度か呼び止められちゃいました」

「ん?」

「学校はどうしたの? って。大阪じゃそんなことなかったから少し新鮮です」

 にこりと笑って、ふっと苦い表情になる。

「先日は先輩を呼びつけるようなご迷惑を……」

「ああ。緊急大急ぎだったもんなぁ、仕事アレ。製造の岡崎君には注意をしておいたから、残るのは遅くとも七時まで。でもはナシ」


 仮受け入れに過ぎないとお互いに思っているせいか、学校があるだろうというのがあまり使いづらい。

 本社時代はどっちにとってもいい免罪符だったんだが。

 

 雑談を終え、互いの作業場に戻る。

「工場長、職安も町役場に併設してましたよね」

「ああ。施設は固まっていたはずだぞ?」

「応募の確認と募集枠をもう少し増やしたいんで相談してきます」


 仮受け入れじゃなく、正規に定時通信制をこの町でと思うと必要な情報はなんになるんだろう?


わからないなりに行動中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ