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クエスト! セイレーンをデートへ誘え!?  西のお山で紅葉狩り

 うろな高原の方は流石にビーチより肌寒い。

 吐く息がほのかに白く染まる。

 車内では暑かったので腕にかけてたマフラーをどうするかで少し悩む。

「暑くなったら持つから」

 そう言って、空ねぇの肩に軽くマフラーをかける。

 全体的にふんわりなラインとカラーの中に赤のマフラーは少し浮くかもしれないけれど女の人は冷えちゃダメだよね。

 それなりに紅葉を見に来た人間はいて駅前はざわめいていた。

「いこう。空ちゃん」



 事前にチェックしておいた散策ルート。

 少しだけ登った場所に開けた場所があり、町を見下ろせるポイントがある。もう少し、天気がよければきっと海がきれいに映えただろうとは思う。

 ゆっくりしたペースで喋りながら歩く。

 ココでの話題は澄先輩の裏企画。

「どんなことになるかはわかんないんだけど冬衣装をおじさんが作ってんだよねー。ほら、夏のやつは通気性とか冷却性とかを重視した造りだから見た目のわりに涼しいんだよねー」

「そうなんだ?」

「うん。動いてるときはいいけどじっとしてたら寒すぎなのは確かに困るしねー」

 空ねぇは聞き上手。

 だから少し、どういう話がいいのか悩んだりもする。

 いつだってやわらかく聞いてくれて、空ねぇが好きな話題がよくわからない。


「まだ緑も残ってるし、赤いのも黄色いのもあるし、きれいだよね」



 見上げれば色とりどりで。コントラストがきれいだ。


「うん」

「疲れてない?」

「このくらい平気だよ」

 あきれた表情で腕を叩かれる。

「あー。ARIKAで鍛えてるもんね」

「そうだよ。もう。そこまでか弱くないんだから」

 ふてくされた感じで訴える空ねぇは年上には思えない。

「えー。俺からしたらか弱く見えるんだから仕方ねーじゃん。か弱くないのは……、う、うーん。うーん。ノーコメント」

 海ねぇぐらいなんて続けると聞いてないはずなのに知ってそうで怖いよ。

 それでも空ねぇは察したのか軽やかに笑う。

「ノーコメント、ね!」

「ノーコメント、だよ」


「ああ、晴れてたらきっと海がきれいだったよね」

「うん。いいポイントだろ?」

 木々の合間から広がりぬける町の風景。

 高い建物の少ない町並みは海までの視界をあまり遮らない。

 山の風が時折り、空ねぇの髪を乱す。

 そんな風のいたずらか雲の切れ間から少しだけ光が差し込む。

 光りがきらきらと海の青さを輝かせる。それは奇跡のような瞬間で。

 ちらりと見た空ねぇが嬉しげで良かったと思う。

「ああ、かげっちゃったね」

「でも綺麗だったよなー。うーん、俺の日ごろの行い?」

「えー?」

 じゃれながら高原駅へと戻る。

 お互いの髪に絡んだ紅葉の葉をとろうとして額をぶつけたのはご愛嬌。


「そういえば行楽キャンペーンやってるらしいよ?」

「行楽キャンペーン?」

「うん。駅がやってるイベントできのこやサツマイモのてんぷらが提供されるんだってー。覗いてみる?」


うろな高原 ~紅葉華やぐ秋の行楽キャンペーン話題出し!

さぁ、お昼はどっちだ!?

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