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11/14 訓練

「さてと、服のポイントに仕込んである金属の音は立てないように動いてみようか? あくまで、動きの調整のための重りだし」

 思ったより薄くて軽いロングコート。

 冬烏用のマントの代用品だ。

 布の中に仕込まれている重りが重なり合うと鈍い音を立てる。

「音がなっちゃうとスマートじゃないよね?」

 静かに問われて素直に頷く。

 放課後は総督に拉致られて特訓中。

 この間、総督はお茶を飲みながらタブレットを弄っている。

 訓練している場所は総督の知り合いのところのどっか。現住所がわからない。

 時々、巨大扇風機が突風を巻き起こす。

 それすらスマートにあしらえと無茶を言う総督と三春さん。

「慣れてきたら、小物の扱いを覚えてみようか」

 二人の完成認識までたどり着くのが遠すぎると思う。




 ちなみにそういっちゃんはおじさんにワイヤーアクションを習っているらしい。

 ある程度ものになったら冬装束(仮)で合わせ練習予定だ。

 今回、そういっちゃんの衣装はそういっちゃんの物置部屋(コレクションルーム)で死蔵されていた未使用品。

 ちょっと、見つけたのでおじさんに提出してみた。

 本人はまだ知らない。



 たまには、ね。




「それで、セイレーンとのデートプランは目処が立ったのか」

「一応、雨降った時のことも考えて臨機応変6パターンぐらいのメインプランはたてたよ」

「ふぅん。軍資金いるか?」

「いらねぇよ」

 休憩してると総督の奥さんであるゆえりさんがお茶とお菓子を出してくれる。

 パッと見には、三春さんとゆえりさんで若夫婦な印象だ。

 総督は気にした風もなくお茶を飲みながらタブレットを弄っている。

「まだこの時期ならハイキングも耐えれる時期だな。暑くも寒すぎもしない。冷えてきたら接近して暖を取るという言い訳も使えるし、推しは散策プランだな!」

 というか、俺のデートプランにノリノリ。

「えっと、散策プランもたててるけど、そんな下心はねぇよ」

「下心は原動力のひとつだぞ。コンパクトな雨具も必須だな。好感度アップは必要だろう」

「待って。総督、なんでそんなにノリがいいの? っていうか、もし、つけたりしたら流石に怒るからな!」

「つけたりはしない。後でどうだったか聞くだけだ」




 超ストレートデスネ。総督。





総督のノリが良すぎです


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