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高校

 駅に貼ってあるポスターを見て硬直する。

「フリーパス……ごひゃくえん。」

 高校にいくために最寄り駅の総合病院前まで行って、勤務地になる場所の最寄り駅は南うろなにむかう。

 そして自宅の最寄り駅はうろな北小学校前とうろな北東の中間地点。

 メモに書いてある最寄り駅、路線図と料金を確認して。

 出費を抑えるため、フリーパス購入。

「なんだろう。この敗北感」

 それにすっごく

「ルートを間違えた気がする」


 高校かぁ。あの二人が今通ってるんだよなー。



 ◆◇◆




 時々電話がかかってくる。

 けして敵対しない相手との通話。

 人の声は安心感を誘う。


 それはじめじめと蒸し暑く雨の多い時期。

 もうじき七夕だけど晴れるんだろうかと心配になる。

 そんな夜にかかってきた。



『父親ってなんだろうねぇ』

 彼は力の入っていないあきらめの含んだ声で呟く。

 父親を知らない彼は憧れも幻滅も選べない。

 私のように父親に対する感情は嫌悪だけと言う不健全さはもっていない。

 それでも私は聞かれて答えれる言葉は一つしか持たない。

「……くず……」

 姉と私は逃げ出しておかあさんの家に入れてもらった。

 薄ぼんやりとよぎる記憶は恐怖。

『飛鳥ちゃん、容赦ないなー』

 苦笑を含ませ彼は私の名前を呼ぶ。

「ええ記憶はないよ?」

 見つからないために、縁を切るために名前だって変えた。

 あまり心配させたくはない。

「それよりたまにはこっち帰っといでよ。料理の腕上がってるって聞いてるよー」

 嫌な話題を切り捨て、明るく振舞う。

『あのさー。飛鳥ちゃん』

 彼も察したのか、口調と話題を変えようとする。

 続きの言葉はなかなか来ない。

「なんねー?」

 しかたなく思って促す。

 何度か繰り返される呼吸音。それが彼の不安を伝えてくる。遠いのがもどかしい。


『女の子を、……好きになったかもしれない……』


 彼はポツリとそう呟いた。



 ふつりと連絡が途絶えたのは半月ほど前。

 連絡が途切れるのはいつものことだけど、こっちに来ることになったとき、連絡を入れようとしたら、『現在使われておりません』という音声案内にむかつくはめになった。

 アレだけ相談電話に付き合ってやったのに薄情なっ。

 そんな相手とかち合うかと思うと気が重い。

 ちょっと挨拶にいくのをやめようかと気が重くなりながら電車に揺られる。

 優良出席率だったのに仕事の影響で留年はもったいないと担任の特例的配慮だ。

 そのままでもギリギリ出席率は足りると思うのだけど、余裕があったほうがいいと暴走してくれた。

 勤務後の自由時間が減ること決定だし、残業可能時間が減ってしまう。

 緊張する。

 いろんな意味で気が重い。


 はじめての職員室。

 昼間の高校はやっぱり人が多いと思う。私服でいると妙に浮いてしまって居心地が悪い。

「年末までになると思いますがお手数をおかけいたします」

 緊張しつつ、女性教師に頭を下げる。

 指定日放課後を使っての定期試験の監督。メールでのレポート授業で補えないような質問の受付。

 

「忙しいでしょうが、がんばってくださいね」


「はい」



 その数分後、道案内兼説明係しーちゃんと遭遇した。


 らっきー。

田中先生お借りしました。

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