表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/823

10/16 逢引の舞台裏

「えー。俺ってそんな感じ?」

「ん? どっかおかしいか?」

 鎮が気持ちカットして梳かした髪を煩わしげに掴む。

 いや、乱れるから。

 自分の服を着ている鎮って変な感じがする。

 ダークカラーのハイネック。

 慣れないのか軽く引っ張る。

「伸びると嫌だから引っ張らないで」

 喉元を気にしている。

「目立たないんじゃない?」


「ん」

「別にちゃんと俺が話すでいいんだけど」

「ダメ」

 素早くダメだし。

 連絡先に伝えてあるアドレスは家出時連絡用の携帯で普段自宅置き。

 今は鎮が管理中だ。


 ため息。

「稲荷山君になにかしようってわけでもないのに」

 向けられる視線は懐疑的。

 鎮のクセに生意気だ。


 アレだけ言われて出て行く気はないが、念のため、鎮の服を身につける。ゆったりめの無地の長袖Tシャツ。くすんだ赤のギンガムチェックのパーカー。

 髪はあえて乱しておく。(なんかいたみそうでやだ)

 心もとない。


 鎮と視線が合う。


 お互いに苦笑。


「秘密基地は久しぶりだな」

「確かに、最近変な噂が立ってる現場になってるらしいけどね」






 子供の頃の秘密基地の奥。隠し部屋にようになったスペースで待機。

 音は届くが光は届かない。



 暗くて物思いに沈むのに最適。



 鎮が稲荷山君を迎えている声が聞こえる。

 えー。俺ってそんな感じ?


 時々、刺したいような苛立ちに苛まれつつ大人しく聞く。

 呼び捨てなんだと思った瞬間、物凄くもやっとしたものを感じた。





 サツキさん。





 会話の中にあった希望に縋る。






 とても嬉しい。


 そっか。

 ただの幼馴染か。


 嫌われてはいなかったんだ。












 あれ?



 バレてるし。

 ダメだな。鎮。






「殺気を放つ奴があるかっ」

 稲荷山君を外まで送ってから戻ってきた鎮に胸元によれたラッピングをされた塊を押しつけられる。

「でもさ、稲荷山君に勝てるとは思わないけど?」

 胡散臭げに見られる。ひどいな。

 それにいらっときただけだと思うんだけどな。第一、勝てるはずもないんだよ。基本、非力なんだから。

「剣道大会を思い出しなよ?」

「急所狙いうまいよな?」

「そ、そうかな?」

 照れるなぁ。ところでこれなに?

 大きくて硬いんだけど?

「にゃんこがお前にって準備してたらしい」

















 え?













 サツキさん……


「とりあえず、稲荷山君にはお礼にほっぺにキスおくっておいた」










 え?














 って、



「余計なことをしてるんじゃねぇ!!!」






 あ。俺のハイネックが……。




稲荷山君お借りしました。

隠れてそうな芦屋さんに目撃されてなお不幸?

鎮に悪意はなさそうだ(純粋にお礼ぽい

困った先輩だね。

そして悪意なく見たものをためらいなく話す後輩も見ていたり(ぇ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ