10/12 前田さんち②
あまり気持ちの良くない話です
苦手な方は避けてください
引き離されてはたりとする。
動けなくてぞくっとする。
なにをした?
こほんけふっ
咳込みが聞こえる。
煩い。
耳鳴りの中、咳込みが聞こえる。
アレを止めたい。
耳鳴りだけでもうるさいのに。
耳鳴りがうるさい。咳込みがうるさい。
アレをトメタイ。
僕は悪くない。
◇◇◇
賀川さんに抑えられた状況でかくんと電池が切れたかのように動かなくなる千秋。
怒るとは思った。
ここまで反応するとは思わなかった。
「大丈夫か」
おっちゃんがきいてくる。
わかっていてやったから仕方ない。
俺は頷く。
マトモに喋れる自信がなかったから。
千秋の手でかけられた圧力。
こわいとは思わなかった。
「ちゃんと抵抗してやらねぇか」
起き上がったところを殴られる。
抵抗。
もう一発殴られる。
「おっちゃん、痛い」
あ。喉がいてぇ。
「弟に殺しをさせる気か?」
あー。追い詰められた目を見てると止める気がなくなったんだよなー。
つい、それで気分が晴れるならあたるぐらいって。
まぁ最後は、『タノシソウ』だったから抵抗しなきゃいけないのはわかったけど。
「千秋は?」
「部屋で寝かせてくるよ」
賀川のにいちゃんがそう言って意識のなさそうな千秋を連れて行く。
マトモに器官を押さえに入った指。探る動きは微か。突き飛ばされて即、首を押さえられた。
つい、迷いの少なさに疑った。
他にも、誰かを知らないうちに傷付けて平気な顔をしてたんじゃないかって。
ぐぅ
「あぅ!」
こんな時にっ!?
千秋をお願いして帰るつもりだったのにっ!
はずかしい。カッコ悪い。
「ごはん準備してあるから、こっちにいらっしゃい」
葉子さんが手招く。
おっちゃんを見て軽く頭を下げる。
「ありがとうございます」
迷惑を受け止めてもらっている。
考えれば、結局のところ自分の考えが浅い。
おじさんは「行くな」と言った。
それでも来たのは自分なのに。
「すみませーん。葉子さん、お腹空き過ぎで眩暈しそう」
続いて借りております




