8/21 仲直りに向けて
すとんとした菫色のワンピース。
藍色の日傘をくるりと回す。
「今日のおやつは『ありか』で海ちゃんのスイーツ〜。年々腕上げててステキだわぁ」
視線が合う。
「りゅーちゃんげんきぃ? 出会えた記念におねぇさんに奢ってもいいわよぉ」
「子供にたかるなよ。鎮兄にたかれば?」
「仕方ないわねぇ。そうしちゃいましょ。あぁ海ちゃんのスイーツ楽しみだわぁ」
身をくねらせるミツキねぇちゃん。
ふらりとビーチを訪れ、甘いものをたかる困ったねぇちゃんだ。
お気に入りは鎮兄にたかるコトと青空一家。
金がないわけでもないのに楽しげに俺や鎮兄にたかる。
まぁ許してしまう鎮兄にも問題があると思うけど。
「りゅーちゃん。今年は何がオススメかしらぁ?」
「さぁ?」
今年は時々、よそに習いに行ったりしてるみたいで味が安定しない。
日々、美味しくなっているわけだから問題はねぇんだけど。
「やっぱり海ちゃん特製オススメスイーツ特盛り。かしらぁ。鎮ちゃん、奢ってくれるかしらぁ?」
特盛り。いつも思うけどやっぱり余分な糖分はどこに消えているんだろう?
「毎回だし、きっと勝手に鎮兄につけててくれるって」
ほわりとミツキねぇちゃんが笑う。
「そぉう? それなら素敵ねぇ」
鎮兄が奢らなくても千秋兄だってカンパするだろうし。
その代わり鎮兄か千秋兄にちゃんと恋人ができた日には特別な何かをプレゼントするという話になっているらしい。
先払い中?
「今日はさー。夕方からライブあるんだー」
「あら。楽しそうねー」
「そして俺はこれから友達と話し合いー」
「話し合いー? 分が悪いのぉ~?」
「ちょっぴり~。でも何とか乗り切る。でないとうまく天音を嫁にできないからねー」
そうぼやくとミツキねぇちゃんは笑う。
「味方してあげようかぁ~?」
「いらないー。ちゃんと話し合う。鎮兄じゃないけど、公のことは友達だと思ってるから」
うん。怒らせたのは俺だから。
よくわからないけど、悪いのはたぶん俺だから。
わからないまま謝っても怒らせるのかもしれないけど、ちゃんと謝るんだ。
「最終、殺人未遂だよねって言えば許してくれると思うんだ」
思いっきり笑い出したミツキねぇちゃんにちょっと安心する。
ダメだしされなかったし、きっとうまくいく。
名前だけ海ちゃん出てますー
そして次は『DQN's』のライブ話予定です




