8/20 ショータイム再び④
「ふざけるな?
ふざけてなどいないさ。知りたいのだよ。
どんな正義を持って我が前に立ちはだかるのかを。
救いたかったであろう歌姫は返った。
それぞれの目的のために我々は行動を起こした。
自らが望んで歌を聴くために。
そして奪われたと感じたそれを取り戻すために。
我が配下にいるものとの友情?
それが心の礎となっているというなら敬意も払おう。
拒否され振り払われても押し付けたい友情。
そんな支配もなかなかに見ごたえがある。
実に愉快な遊戯だろう?」
「支配? 遊戯?」
「だがね。心の礎をろくに持たぬ者に蔑ろにされるのは気に食わないのだよ」
勢いをつけて伸ばされていた手に軽く手が合わされ、その手首を引かれる。
引きずられ、崩れた体勢の足元に蹴りが入り、勢いに合わせて捻られて一回転。
「救いたい。行動したいと思うなら、それに見合うよう、自らの心も高めねばならない。さてカラスマントよ。自らの心を正しく見つめているのかね?」
立ち上がり砂を払いながら視線を総督に合わせていると思われる体勢をキープ。
ひとつ息を吐く。
「そんなことわかんねーよ」
今回のショーにおいてカラスマントの物言いは作り上げたキャラというものを最初から放棄したもの。
向かい合うのが宗一郎であったから望みと希望を訴えた。
心を傾けて欲しいと望んだからこその要求は押し付けの支配と断じられる。
鎮としては理解できない扱いに困惑が強まる。
そう、わからない。
「でもさ。」
視線がノワールを捕らえる。
「友達だと思っているやつに拒絶されるのも嫌だし、その友達を蔑ろにされるのも腹が立つんだよ!」
言い切ると同時に総督に向けて勢いをつけて肘撃ち、防がれた勢いで体を反転させてもう一発狙う。
それを止めたのはノワールの操るストール。
「総督、勝負の方は……」
「まぁ、お前が負けた時点でついたようなものだな」
「申し訳ございません」
カラスマントを省いた会話。
それはカラスマントの不快感を煽る。
「邪魔すんな。ノワール」
「おわり。だと思うけど、カラスマント」
「納得しろ。って?」
むっとした不機嫌な声音でノワールに対するカラスマント。
距離を取りつつ、その様子を眺める総督。
砂まみれのマントを拾い砂を払うノワール。
そのマントを受け取りながら、カラスマントが首を傾ける。
「じゃあさ、さっきの流れからして一個は要求していいんだよな?」
二マリと笑うカラスマントにノワールは頷く。
ばさり
大きくマントが翻る。
「じゃあ、ひとつ」
神妙に頷くノワール。
「友達になれ。
なんて言わない。だって、それ友達じゃないだろう?」
「だから」
楽しそうに焦らすカラスマント。
「なんかおねだりしてもらおーか」
「は?」
ショータイム終了!




