うろな町ダッシュです
散髪屋でイイと言う妹を無理に目に付いた柔らかい感じの印象の美容室へ行かせる。
たとえ短く切るといっても少しでもかわいくなってほしい。
妹に対する欲目だし、我侭だ。
軽く周囲散策してどんな店があるか確認しよう。
位置関係を把握しとかないと。
地図も買わないと。
「宗一郎さん!」
聞き覚えのある声に振り返る。
走ったのか上気した顔。
黒の膝上丈タイトなワンピース。赤のカーディガン。
黒のロングヘア。
柊子さんだ。
今にも倒れそうだ。
柊子さんも鈴音にしても体弱い自覚あるんだろうか?
「気がついたら、出さんと鈴音さんとはぐれてしまっていて。どうしたらいいんでしょう」
無理でも三春おじさんに付き合ってもらうべきだったか。
とりあえずは柊子さんを天音に預けて、コンビニに走った。
ポケット地図を購入。
他のお客さんがレジにこなさそうで良かった。
「すみません」
店員さんが不思議そうに見てくる。
「はい。何でしょうか?」
「うろな北小学校への道を聞きたいんですが?」
「少々お待ちください」
小さな掛け声と共に大きな本をカウンターに広げ置く。
「ここがうちのコンビニです」
指で示す。
目で追いつつ頷く。
「こーいくとここ銀行がありますから、目印にして下さい。で、ココがうろな北小です」
地図と示されたルートを反芻。ポケット地図で確認しながら行くこともできるだろう。
よし。
「お手数おかけしました。ありがとうございました」
一礼してコンビニを出る。
「ありがとうございましたー」
後は、走った。
小学校の門のあたりに子供が三人いた。
三人?
「あ。宗一郎」
「来てくれた」
「こんにちは。二人が世話に、なったね」
ちょっと息が切れる。
ばたばたー




