手を貸して
「手を貸してくれ」
寝転がって目を瞑っていた俺に対して友人がそう言ってきた。俺は目を開かないまま見て分からないか? と言い返す。
「使ってるところだ」
「お前の頭の下にあるその腕を動かしてくれるだけで良いんだ」
「だから使ってるところだって」
俺のその言葉に友人は語気を強める。
「こっちは手が足りてなくて切羽詰まってるんだよ!」
その言葉に驚いて俺は思わず目を開いた。するとなにか事故にでも遭ったのかボロボロで両腕の外れた友人であるアンドロイドが目に入った。
それを見て俺は思わず呟く。
「たしかに手が足りてないみたいだな」
そして俺は枕代わりにしていたリサイクル品のアンドロイドの腕を差し出した。
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