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スライム族の誇りをかけて・・・修行っ修行っっ!

高温多湿のこの地は、我々スライム族には非常にきつい気候になっている。

しかし私はなにがなんでも、スライム族の再興のためにも修行を耐え抜く必要がある!


「なに・・・どんなに暑くても、このスライム帽があればなんとかなるもんさ・・・」


しかし・・・スライム帽をかぶってみても、暑いもんは暑いぜ・・・


高温多湿であるこの地方は、今日も今日とて煮えたぎるかのような暑さだった。


「今日もいい天気だ、行ってくるぜ!」

挿絵(By みてみん)

とくに誰もいないのだが、一人で出かけるスライム顔のおれ。


「うっ・・・・」


やはり外の暑さはきびしい。



「うう・・・スライム顔のおれにはめちゃキツイぜ・・・・」


くっ・・・

暑い・・・


もしかすると、いささか、やばいかもしれん・・・

頭の上にある我々スライム族の象徴である「一本角」が、もしもこの暑さで溶けちまったら、そんなことを考えると、うすら恐ろしくなり、もう帰ってしまいたい気持ちが沸き起こるが。

ぐっ!と堪え、カバンにしまってあるスライム族専用の耐熱帽子をかぶり、さらに歩を進めていく!


「いってぇ・・・今・・・何度くれぇなんだ・・・はあ・・・はあ・・・」


我が家に一つだけ、なんとか4年ほど前に家族全員のお金を持ち出し、ついに購入した【帝国魔道ビジョン ver41.56】で見た情報によると現在43度程。


「ふっ・・・なに・・・スライム帽がありゃあよ・・・なんとかなるさ」


しかし、これからまだもう少し気温が上がるのだと言う。



「こちとら天下のスライム族の末裔様よぉっ!お天道様に負けてられっかよぉっ」



と、とぼとぼと歩くスライム顔。

だがついに、どこかに到着。



扉の銅製のライオンのデザインの輪っかをつかみ、扉を鳴らす。


ガンガンっ!「スライム族!ゲン・ゼリョンです!今日もお願いしまっす!!」


スライム顔のゼリョンは今日も、師匠(シーフォー)のところへ武術の勉強に来た。


師匠(シーフォー)「うむ、さっさと列に着きなさい、もう始まるところだよ。頑張りたまえ。」


スライム顔「はい!」

元気に返事をして列に並ぶゼリョン。


と。

隣に並んでいる先輩弟子のガファン君がつぶやいた。

「てめえよぉ・・・スライミーのくせによぉ・・まぁだ続ける気かぁ~?今日もいてぇ目にあわせてやるからなあ~ぐえっへっへっ・・・」



くっ・・・こいつ・・・


この隣にいる兄弟弟子は名をガファンと言う。

元々たちの悪い町のチンピラ的立ち位置。


なんとかまずはこいつをなんとかしねえと、満足にいい修行もできねー。

今日あたり、そろそろわからしてやるかい・・・



師匠(シーフォー)「君たち、体はもう各自ほぐしてあると思うんでね、今日もまずはファイトからやってみてください。」


各兄弟弟子たち「おいっす!!」



ここの師匠(シーフォー)は、とにかく実践偏重主義。

道場に来る前には各自体をほぐしておき、道場について並ぶなり、まずは戦いが始まる。


シーフォー曰く「とにかく戦ってみないことには、何もわからない」


と言うことで、「確かにな」と言う人や、「うーむ」、と唸る人もいるが、そこそこ繁盛しているようで地元では人気の道場の一つになっている。


ガシーーーーーッッッ!!

ドッッッ!!

バァァァン!!


およそ30人ほどの兄弟弟子たちは、すでにもう何人かは始まっているようで、すでにもう二人ほど血まみれになって倒れている。

血まみれで倒れ、痙攣している連中を見ていると、軽く血が引いていく感覚があるが、ぐずぐずしているとこの眼前のクソみてーな兄弟弟子に同じ目に合されちまう。


スライム顔「よろしくおねがっっっっ!!ぶふぅぐっっっっ!!うっ!」

くそみてーな眼前の兄弟弟子は、こちらが礼をしている最中に、いきなり拳で顔面を強打してきた。

ふふ・・・ちょっと油断しちまったぜ・・・。

忘れちまってたかな・・

こいつがクソヤローだってことをよ・・!


「おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁっっっ!!!」


ガッシィィィィィィィィィィーーーーーーーッッッッ!!

ジャンプ一閃、飛び膝蹴りをくされガファンの顔面に叩きこむ!


と思いきや、ガファンはすんでのところで腕を交差するスタイルの防御で受けてきた!

くっ・・・っっ!!

こんくそガファンがっ!


飛び膝をしよっぱなから繰り出したのは、いきなり顔面を強打された怒りもあったが、やはり失敗だったかもしれん!

飛び膝から地面に着地するほんの手前の一瞬、ガファンの返しの顔面膝が繰り出される!

体重があるガファンの膝は、腕で受けるのは厳しい。


襲い来る膝を避けるようにサッと顔面を左サイドに躱す!

「ぐふうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっ」

しかしその刹那、ガファンの膝はキャンセルされ、膝を引いた勢いを利用した上段肘が私の顔面にかすった!


勢いよく飛び出す緑色の鮮血!


ちくしょおっっ!!ちくしょおっっっ!!

くそガファン!くそガファンがぁぁぁぁ!!

その一瞬でガファンのパンチが右わき腹に打ち出された!

「うぶぅぅぅぅっっ!」


シーフォー「よーしそこまで!各自回復水を飲んで小休止!」

各道場性たち「はいっ!」


ガファン「ふぃっ!ふぃっ!ふぃっ!ふぃっ!ざこスライムがあ~っふぃっ!ふぃっ!」


ガファンの自信満々の笑いが、わたしの心にどーにもならない憎しみを増長させると同時に。

やはりガファンは強い・・・まだガファンには勝てない・・・と言う諦めのような気持ちが同時に沸き起こる。



ようやく最初のファイトが終わり、回復水を各自飲んである程度回復したところで、ファイトで上がって高まった気持ちのまま、技術練習に入っていくと言う体系をここの道場はとっている。

血まみれになっているのは私だけではなく、倒れている者もおり、倒れている者は動ける者たちで回復水を飲ませて動かせるようにするのが、ここのやり方だった。


シーフォー曰く「めちゃくちゃにやられると悔しいだろう?それがないと誰もね、強くなれないのよ、じつは。」

なのだと言う・・・。


ガファンにスライム族の命である「一本角」が折られてないか確かめ、ホッとすると同時に、なんとか自分の足で歩いて道場秘伝の回復水を飲むと、先ほどの流血は収まり、かなり楽になる。

しかし完全に回復するわけではなく、強いダメージを受けたところはだいぶ痛い感じのまま、練習に入っていく。

この痛みで、さきほどやられた悔しさをイヤと言うほど思い知らされる。


木製のぼろい長椅子は、あまりケガのない連中が座っており、血まみれになっている者は地面に座るしかない。

30人いるのに、長椅子が3台しかないのは、さらにくやしさを煽るためだろうか。


とにかく、わたしはスライム族の誇りにかけて、スライム族の再興とわたしと家族の生活のためにも諦めるわけにはいかなかった・・・


スライム族の誇りをかけて修行に励むスライム顔のゼリョン!

がんばれゼリョン!倒せガファン・・・っっ!!

とにかく頑張るしかないゼリョンだった。

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