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アートルムからの客人



――――シェリーの縁談騒動から数日後。

もちろん縁談は破談。シェリーも図太いからな。聖女ながら護身術を習いたいと言い始めユリーカと組み手にチャレンジしている。


そんな中坊に城に呼び出されたかと思えば、待っていたのは……。


「セイカ。来ていたのか」

「えぇ。さきのエルフの騒動で、夫はバシレオス陛下と現況や今後のことを話し合うそうよ」

そしてセイカも同行したわけか。俺が迎えに行ったわけではないから坊の転移……いや、国同士の公式訪問なら転移ポータルか。昨今は転移ポータルがよく使われる。あのエルフたちの使っていたような転移魔方陣は今はほとんど使われない。理由は手書きだからどうしても座標がずれるし、一度に何人も通れない。さらには魔力も注ぐのが大変なのだ。そんなのが上手く出来るなら、転移魔法くらいは習得してるだろ。

あのエルフたちは、ヴェールとシェリーだけを先に森に送ろうとしていた。後のエルフたちがドラゴニアでスパイとして捕まることすらお構いなしに。まぁ結界も張ってあったから時間稼ぎにはなったろうが……竜族からしたらあんなものおもちゃみたいなもんだ。一度ダニエルに習っとけってんだ。まぁアイツも後輩思いだからシェリーを拐おうとしたエルフには教えんだろうけど。


んまぁ取り敢えず、アイツらは国外追放になった。


「国外追放になった後の話だな」

「えぇ、そうなの」

そしてセイカは俺と話す時間をもらった……或いは皇帝が坊と一緒にセイカに聞かせられないきわどい話をしているか。セイカも皇后で聖女だから肝も据わってるし大丈夫だと思うがな。


「あのエルフたちは自治区を得てどの国にも属さない領地の権利を主張してきた。私たちも、他の国々もエルフが精霊王の恵みを受け暮らす伝統を重んじて自治区には手を出さないわ」

ま、エルフのいる森にゃぁ世界樹があり周辺国にも利益をもたらすからな。因みにドラゴニアのエルフの自治区……エルフの森にも世界樹が植えてある。あれは確か……アシェたちが移住してきた時に親父が植樹したとか言っていた。苗木がどこにあるのか……そこら辺は竜神しか知らないと思うがな。


「でもかのエルフたちの森は……枯れたのよ。それも1/3」

「全部ではないのか」

「精霊王のお慈悲らしいわ。女神……いえ竜神さまの怒りを買った該当のエルフたちに罰を与えることを条件に2/3は残っている。首謀者の……ヴェールだったかしら。その周辺のエルフたちは揃って首輪を嵌められ召し使い扱いされているらしいの」

他のエルフたちも巻き添えを食いたくないからこそ必死なんだろうな。まぁいい気味だが。


「他のエルフの自治区も助けるつもりはないみたい。巻き添えを食いたくないのね」

「ごくわずかではあるが、細々と暮らしているからな」

中にはアシェのようなまともなハイエルフもいるだろうが。


「えぇ。中には今回の件を踏まえて、アートルムやエストを通じて我こそはシェリーちゃんの婿養子に……と名乗りを上げる自治区もある」

「ドラゴニアと懇意にしてる二国だもんなぁ」

さすがに魔王国には行ってないようだが。


「しかし……場合によっては森が枯れるかもしれないのにずいぶんなことで」

「それでもアシェさまとのネックや万が一の際のドラゴニアの世界樹をとっておきたいのでしょうね」

アシェは今さら外のエルフに戻る気などさらさらないのに。それにドラゴニアの世界樹だってやつらのためにあるわけじゃない。


「アートルムでは竜を崇拝しているからそう言ったお話はお断りしています」

「いい判断だ」

一度竜王子自ら怒ったのにそんなことを許すはずがない。


「エストでもアヤメさんが一喝したみたいで……」

「やると思った」

正義感も強いし、アイツも面倒見いいからな。見知ったシェリーのことを優先してくれるしエスト王も人格者だかんな。


「これからは彼らもどう生きて行くか……考え直す時代が来ているみたいね」

「そうさな……まだ竜神の与えた世界の理に反して生きるか……それとも受け入れるか」

それでも……きっと長い時間が必要だ。


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