ダメ勇者より愛を込めて
――――ドラゴニア王国・王都。
「ん……、相変わらずおめぇのは……柔けぇな……。クルルたんっ」
「あぁん……っ、んもぅ、ロイったら。そんなところさわっちゃだ~めっ!」
ここは王都の中でも言わずと知れた、オトナのアソビバである。
「もう少し……ちょっとくれぇいいだろ?」
「あん……っ、そんなたんまりさわっちゃ……気持ちよくなっちゃうじゃない……っ!」
「……すみません。一体何をしているのですか。あなた方」
そんなあま~い大人のアソビバに訪れたのは、まだ年若い神官。しかもかなりの若きイケメンだ。銀髪に青い瞳とか、ステータス高くね?
しかしまぁ……全く神官と言うのはどいつもこいつも……。そんな顔をしてんなら美女でも連れ込め――――――っ!と言いたいほどに色欲を封じ込めようとする輩である。
「何って……ラブホでやることなんて決まってんだろぉがっ!ほんっとおめぇら堅物な!めんどいぃぃっ!」
「んん、そうよぉ……。あぁ、でもお若い神官さまにはちょぉっと刺激が強かったかしら?」
「はん……っ、だらしねぇなぁ……?煩悩退散とかやってるからそうなんだよ。はぁ、まったく。耐性もなにもねぇ……。でもな、こう言うのはお約束なんだよ……実は神殿のトップは煩悩にまみれてあはんなことや、こぉんなことをしてんだよ!キッヒヒヒヒヒッ」
「やだ……っ、不純だわ……っ!」
「いや、アンタたちの方が不純でしょうが!あと神殿のトップに何と言うことを……っ」
と、神官が告げるが。
「どこがだよ!俺たちゃぁ夫婦だぜ?夫婦が夫婦の営みをすることのどこが不純だぁっ!」
そう、俺とクルルたんは正真正銘の夫婦である!ラブホで堂々といちゃついて何が悪い!
せっかくの一週間にも及ぶクルルたんとのいちゃつきランデブー精力ロワイヤルを楽しんでいたら、どうしても会いたいと言ってきた神官を!賢者タイムの間だけならと許可したらこれたぁ情けねぇっ!
「そうよ、坊やにもそのうち分かるわよ。大人の階段を登ったら……っ!」
んもぅ、俺の嫁は優しいなぁと思っていれば。
「いや、あなた方とは坊やとか呼ばれる年齢差ですか?」
何を言い出す神官!
「あら、そうなの?坊やはおいくつかしら?」
「……24ですが」
若ぇ。わっかぁっ!!ふん……童貞か。神官の殆どが童貞だ。でも家族を作ることは許されているから卒業することもあるが……この神官、イケメンのくせに童貞とは……!やっぱり神官って堅物――――。
しかしうちの嫁クルルたんは優しい。めちゃ優しい。こうして若人を教え導きエロの道へと踏み出させてくれるのだ……!
「あら、じゃぁ私の方が年上ねっ。私は180歳なの……!あ、でも女性に軽々しく年齢を聞いちゃダメよっ!これは、大人の階段を登り始めた坊やへのト、ク、ベ、ツっ!」
あぁん、そんな優しくサービスしてあげちゃうクルルたんはやっぱり最高だな……!
「……すみません、坊やでいいです。そう言えば竜族は長命種でした」
「そうそう、しかも姉さん女房なんだぜ?いいだろう?」
クルルたんは竜族だ。モーヴの髪に金色の角。妖艶な金色の瞳に、あとモーヴの鱗の翼と尾を持つ。
あとプロポーションも最高のボンキュッボン。――――最高すぎるぜ。
さらには姉さん女房!その響きだけで最高じゃねぇか。このあふれでる姉さん力……!優しく包み込んでくれる全てが……っ!!
「んもぅっ、アナタったら相変わらず年上好きなんだから……っ!」
「ふふ、まーな。でも俺が好きな年上は……おめぇだけだよ、クルルたん。もちろん年下には興味ねぇ。俺が愛してるのは、クルルたんだけだぜ?」
「やーん、もぅ、嬉しぃっ!大好きよっ、私もロイだけを愛してるわっ!」
「ノロケですか、んもぅ……っ!てか、そろそろチェックアウトの準備してくださいよ……!勇者さま!!」
――――勇者、ねぇ。
「えー、やだやだ。クルルたん、もう一回……いやあと二回やらねぇ?また昂って来ちまったからよぉ」
「んもぅ、精力有り余りすぎよぉっ!でもそんなトコまで好、きっ!」
キュンッ!やっぱりうちの嫁は最高おぉぉっ!あぁ、とまんねぇ……こりゃ一週間じゃおわんねぇよ……あと一週間、延長しよ。
「……あぁ、そうだそこの神官」
「ダニエルですが!」
ふーん、ダニエルねぇ。
「あんさぁ、見たいなら構わねぇけど」
部屋にある端末で延長申請……かんりょっと。
「やだ、見せつけプレイ?それもいいわね……っ!ドキドキしちゃうわぁ……っ!」
「だろう?クルルたん。分かってんじゃんっ!恥じらいながら竜の翼と尾を揺らすクルルたん、最高にかわいいんだぜ?」
「あーん、もう。そんなに褒められたら嬉しすぎるわ……っ!そしてあなたも情熱的すぎて……私もついつい竜全力で悶えちゃうのよ。しかも……またカチコチになってきたじゃない……!やだ、美味しそうっ」
ぢゅるり、と舌なめずりをするクルルたん、すげぇうまそう。
こりゃぁ俺も舌なめずっちゃうと言うもの……っ!
「んだろ?」
クルルたんに滾った雄の情熱的眼差しを向ければ。
「んふんっ!」
あぁ――――――っ!クルルたん最高うぅっ!
「あの……外で、待ってます」
神官くんが静かに答えた。
「あっそ。じゃぁよろしこ――――」
「んもぅ、下ネタよっ!ローイっ!」
「いいだろぉ?今からシモで、気持ちよくなるんだから」
「やーんっ、それもそうねっ!」
「……この品性下劣勇者めっ!」
バタン。
――――――そして神官ダニエルが部屋を出て一週間が経った。
「いや、つーかいい加減にしてくださいよぉっ!一体いつまでヤってる来だぁぁぁ……っ!品性下劣勇者がぁっ!!」
「あー、スッキリスッキリ。シャワーも入ったし、メシ行こうぜクルルたん。メシ~~っ!」
「もちろんよっ!ローイッ!」
「……何かごく普通にチェックアウトする気でいますけど……二週間も籠りっきりとか何考えてるんですか!」
「問題ねぇよ。部屋は定期的に洗浄魔法かけたし」
「そうそう。いつもご贔屓にしているもの。当然よ」
「いや……つか、いつもこうなんですか!!」
「坊やもオトナになったら分かるわぁ……っ」
「な~~!」
「はぁ……もう。いいですからとっとと来てくださいよ、あなた一応勇者でしょう」
「やーだやーだ、メーシっ!お腹空いたぁ~~っ!」
「あったり前でしょうが!二週間も籠りっきりでその……するなんて」
「あん?どうしたんだぁ?照れてるのかぁ?」
「やだ……っ、若いのねぇ」
「……そう言う問題では……っ!とにかく、お話を……っ」
「でも先にメシがいい~~」
「それじゃ、彼も来たらどうかしら?大衆食堂だけれど、とっても美味しいのよ?」
「えと……それなら、同行します……。は……っ、まさかまたいかがわしい店ですか……!?」
「いかがわしいとは何だ、いかがわしいとは……!ここはドラゴニア王国の公認の色街!いかがわしくなんてねぇっ!夫婦だろうがシングルだろうが、どっぷりたっぷりと正規料金でエロいことを楽しめるオトナのリゾートだろうがっ!……ったくもー、これだからチェリーは。おめぇのチェリーはブラブラか……!」
「やだもぅ、ロイったらぁんっ」
「や、やめてくださいそう言う……その、下品な言い方は……っ!」
「バカヤロォ、てんめぇっ!お上品に言ったところでおめぇのチェリーがぶらんぶらんなことには変わりねぇんだよ!!」
「やだ!今のステキ!名言!名言だわ……!」
「んもぅ何なんだこのエロ夫婦……っ!」
「さぁ~~て、まずはメシ!メシ食お~~う!」
「さぁんせぃっ!ローイ!」
「……ほんと、何でこんな色情勇者の担当に……トホホ……」