僕が皆を幸せにすればいいのだろう?
初めてなろうで話を書きます。一次創作したことなくて手探りです。
人間が愛しくてたまらないある悪魔の話
第1話
いつからか、人間を愛しく思うようになった。
長として務めてきたこの王国の人々を。そしてこの世界の人間を。
最初はある程度発達したところで彼らの魂を貰う心算だったんだけれども。
大きく輝く月を見上げながらふと昔を思い出す。
ああ、もうあの頃の人間はここにはいないのだ。照らす月が笑うようにこちらを見ている気がしてならない。
本当にいきるとは大変な行為だ。
「リーベ様。」
思いにふけるうちにドアの外からノックが聞こえる。
「ラルムか、入っていいぞ。
..........あと、僕とお前の関係だ。敬称などは必要ないといつも言っているだろう、」
そこにはキラキラと輝く真っ白な長髪を緩めに巻いた耳の尖った青年の姿がある。
「私はあなたに助けていただいてここにいます。私の人生の全てをかけても変えせない恩でしょう。」
ラルムと呼ばれた青年は困ったように笑った。
「お前も僕も寿命なんてあってないものだろう。永遠をいきると言えば聞こえはいいがな...
それに生きたいというお前の意志を強く感じたから手助けしてやっただけだ。あまり気にするな」
深い闇のように黒い髪を揺らしながら血のように赤い目から微かな光が漏れた。
2人の間に沈黙が流れる。
気まずさや緊張感といった感情は感じられない。
それは2人にとって永遠とも感じられるほどに居心地のいい空間だった。
その空間に終止符を打つようにラルムは口を開いた。
「リーベ様はいつになったら人間の魂をいただくおつもりで?もう貴方様がこの国を統治し始めてから150年以上の時間が経過しているでしょう。そろそろ頃合かと思うのですが」
リーベは意味深に目を伏せた。
「さぁな、いつになるんだろうな」
「各国では内戦が多く起きていると聞きます。このままでは多くの人がこの国を訪れてくる可能性があります。ですので今が頃合かと思うのですが...」
リーベはそれを受けて少し困った顔をした。
「お前は人間が嫌いか?」
突然の質問に彼の顔が少しだけ驚く顔になった。少し考えてから口を開くと
「人間は愚かな生き物だと思います。いつか終わりが来ると分かっていながらも人と争い、輪を作り、そして集団同士で醜く争う。私は人間のことが分かりません。それに私は...」
グッと言葉を飲み込む姿に思わず口を挟む。
「悪いな、お前に過去を思い出させるつもりはなかったんだが...」
彼は困ったように笑った。
「いえ、もう過去のことですから...
私はこの辺りで失礼します」
そう言うと足早に部屋を出ていってしまった。
(悪いことをしてしまっただろうか...)
そう思うと思わず顔が歪む。今の自分の顔は決して人に見せれたものじゃないだろう。
「どうして僕は会話がこうも下手なんだ...
あいつの気持ちも汲み取って上げたいのに、
僕はどうしようもなく愚かで平凡な人間たち が愛おしくて仕方がないんだ...」
月が当たりを照らす。
輝く星が人々を照らす。
これは平凡な生を送る人間と、決して交わらないはずの悪魔が織り成す摩訶不思議な物語である。