Who gonna be my date?
翌日、アキは小部屋にて天体模型を撫でた。世界の濁りがさらに薄くなる。撫でている間、確かに力が抜けるような感覚がした。神から授けられた力を行使している、というのか。
浄化を終えれば別室に通された。
三人の男を日を跨いで矢継ぎ早に紹介されて、自室を目指す足元がおぼつかない。相手の男たち同士が顔を突き合わせないために配慮されている。反面、アキに対する思いやりがない。マッチングアプリにも手を出したことのない女に三人と同時進行とは難易度が高すぎる。
普段ノベルゲームしかプレイしたことのない人にシューティングゲームのエキストラハードモードをクリアしろと言っているようなものだ。
よって彼らに名前を伝えるのでせいいっぱいだった。
ーー違う。確かに死にそうになる前に軽ぅく恋人欲しいって願ったけど、こういう形じゃない……!
強制的お見合いは求めていなかった。
神さま、解釈違いではないでしょうか。
三人とも方向性の違った美丈夫ではあった。彼らに文句を言うつもりはない。外見は生まれ持ったものなのだから。世界を救う聖女に、ではなくアキ個人に見合う男性を探してほしかった。文字通り異世界の美形を前にしてすっかり臆病になってしまうのも致し方なかろう。別な意味で選べずにいる。
世界の浄化、実際の業務でいうと天体模型を撫でる作業が毎朝続いて一週間。墨汁をはね飛ばしたのかという汚れから濃い灰色ていどになっていった。吹きかけ絵の逆再生を見ているようでもある。これは順調で、疲れる以外の目立った弊害もなく作業には慣れてきた。
身の回りの世話をしてくれる女性が部屋にいてくれるのは、朝と夕方の短い時間のみ。
留まってくれるよう頼んでも、男性と会っているときは必ずいなくなる。普通は逆だろうに、現状ではアキが男性と早いところよろしくやってくれたほうが都合がいいと自由に泳がされている状態だった。あとは宮中や庭を自由に歩き回れるので気が向いたら近くを散歩している。迷っても怖いので息抜き程度であまり遠出はしていない。
地球で読んでいた小説の多くでは「異世界」「聖女」「王子」とくれば着飾ってパーティとなだれ込むのだろうが。
依代の体にはまだアキの魂は定着しておらず、正式に神の力を扱えるようにならなければダイハイ国の国王にはお目通り願えない、と伝えられた。とくに会いたいわけではないけれども、そちらの都合で召喚しておいて……? と思わなくもない。いつも対応するのは王子であり、アキからの要望は使用人を通し王子の側近たちが手配する。希望を口にするのもめったにないことではあるが。
半年でいなくなるかもしれない存在を大々的にお披露目会で晒すには確かに不安ではある。
聖女による世界の浄化も仰々しいものではないから妥当な扱いなのだろうか。世界を救っている実感も薄い。
Who gonna be my date?
(誰と付き合う?)
短いので本日は6話も投稿してます。