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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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揺れる想い

 静香さんの顔が、血の気の引いた表情になる。


 落ち着け……何も問題はない。


 俺は彼女の手を引き……二人の前に出る。


「えっ?」

「大丈夫、俺に任せて」


 ……大丈夫……この制服なら。


 生意気な態度さえ、とらなければ……。


「どうも——すみませんでした」


 きっちりと目を見て、頭を下げる。


「あぁ? お前の女か?」

「はい、そうです」

「ふえっ!?」


 静香さんの握る力が強くなる!

 ご、ごめんなさい! こっちのが都合がいいんだ!


「はっ、若いもんは良いな。もう暗くなるが、こんな時間に何やってる?」

「テスト終わりなので……」

「かぁ〜懐かしい響きだ」

「おい、行くぞ。その制服には手を出すなと言われてるだろ?」

「わかってるよ。きちんと謝ってくれたしな。じゃあ、気をつけろよ」

「はい、すみませんでした」

「す、すみませんでした!」


 厳つい二人が去っていき……。


「ふぅ……怖っ」


 思わず、しゃがみこむ。


「に、兄さん」

「あっ、平気?」

「う、うん……兄さんが守ってくれたから……ありがとぅ」

「いやいや、かっこ悪いよね……今更、腰が抜けちゃったし」

「そんなことないよ……かっこよかったから」

「そ、そう……か、帰ろうか?」

「う、うん……」


 なんだがギクシャクしたまま外に出ると……。


「ほんとだ、いつの間にか暗くなってたな」

「楽しかったからかな?」

「なら良かったよ。少しアレなこともあったけど」

「兄さんって、ああいうこと出来る人だったんだ?」


 ……自分でも驚いてます。

 生まれてこのかた、喧嘩なんてしたことないし。

 逃げるなんて選択肢はなかったなぁ……うん、自分を嫌いにならずに済んだ。


「い、いやぁ……たまたまだよ。それに、妹を守るのが兄の役目でしょ」

「……それだけ?」

「うん? どういうこと?」

「い、いや……その……な、なんか、言ってたよね? 制服がどうこうとか……」

「ああ、そういうことね。前も言ったけど、この辺りは吉野先生の知り合いが多いみたい」


 今回は、条件が揃ってた。

 たまたま、学校帰りの制服で良かったよ。

 私服だったら、もう少し手間がかかったかもしれない。


「そういえば、聞いたような……吉野先生って何者なの?」

「さあ? 本人は、ごく地味な生徒だったとか言ってたけどね」

「ありえないわ」「ありえないよね」

「ふふ……」「ハハ……」




 その後、スーパーに行き……。


「じゃあ、なるべく制服で行った方がいいかな?」

「まあ、そうかもね。ただ、注意点があって……それを傘に来て生意気な態度をとったら……吉野先生も庇わないってさ」

「そ、そうなんだ……確かに、それで威張っちゃダメだよね」

「そういうこと。だから、きちん謝るのが正解」


 それに、吉野先生も言ってたし。

 中途半端にイキってる奴より、ああいう人達の方が気の良い人が多いって。

 俺もゲーセン通いはしてたから、それは少しだけ分かる気がする。


「えへへ、お母さん達には言えないね?」

「確かに……心配しちゃうな」

「じゃあ……今度も、兄さんに連れてってもらわないとね?」


 両手を後ろで組んで、覗き込んでくる彼女は……あざとい。

 天然? 無自覚? ……とりあえず、可愛いです。


「まあ、一人で行かせるわけにはいかないか……こんなでも、男だしね。最悪、時間稼ぎくらいにはなるでしょ」

「ふふ……彼氏さんみたいだね?」

「……はい?」

「に、兄さんが言ったんじゃない……」

「ああ、アレは……ごめんなさい」


 我ながら、なんということを……穴があったら入りたいとは、このことか。


「あ、謝らないでよ……ありがとう、兄さん」

「どういたしまして」

「じゃあ、お礼に……好きなおかずを選んでも良いです」

「夕飯の話? だとしたら、親父達に……」

「違います……むぅ」


 あれ? 何故、ジトッと見つめてくる?


「……お弁当の話?」

「そうです」

「なるほど……うん、不公平じゃないね」

「兄さんってば、そういうの気にするよね?」

「そりゃ……一方が不利益を被って、もう片方が利益を得るのは……好きじゃない。なんか、自分勝手な気がして」


 結局、《《母親にとって良い息子》》が欲しいという理由で押し付けてこられたからかも。


「その……疲れない? 我慢ばっかりしてて……」

「どうだろ? たまに叫びたくなる時はあるかなぁ……」


 原因の一つは……貴女なんですとは言えないけどね。


「叫ぶ場所……兄さんは、カラオケとか行かないの?」

「カラオケねぇ……トシと何回か行ったかな。と言っても、アニソンとか昔の歌しか歌えないけどね」

「そうなんだ……」


 何やら考え込んでる様子だけど……。


「もしかして……行ったことないとか?」

「……ないの」

「そ、そっか……別に珍しい事じゃないから平気だよ」

「一度、行ってみたいと思ってたの。理沙は部活があるし、今までは遊ぶなんて考えてなかったから」


 この調子じゃ、色々とやってないことがありそうだ。

 なら……俺のやるべきことは決まってるね。


「じゃあ、今度はカラオケ行ってみようか?」

「へっ?」

「も、もちろん、藤本さんとか連れてさ。家族で行っても良いし」

「ふふ……ありがとう、兄さん」


 俺は何をやってるんだろ?


 距離を置いておきたいと思っているのに……。


 自分の気持ちを、自分で制御できてない……。


 トシのことや、藤本さんのこともあるし……。


 これから……どうなるんだ?

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