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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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44/55

招待

 ……えっと、なんの話をしてたんだっけ?


 トシが、俺を無視した理由を聞こうとしたのに……。


 それが、なんで好きな人が藤本さんってことになるんだ?


「……ごめん、よくわからないんだけど」

「さ、流石に! はしょりすぎたな! ま、まあ……醜い男の嫉妬ってやつだ……これ以上は、勘弁してくれると助かる……」


 嫉妬……何か嫉妬するようなことって……あっ——。


「俺が……お昼ご飯一緒に食べてるから?」

「そ……そういうことだ。すまん! 小さい男で!」

「い、いや……そんなことは思わないよ」


 逆の立場に立ってみたら……うん、俺も嫉妬するなぁ。


「そ、そうか……聞いても良いのか?」

「うん? ……ああ、どんな関係かってこと?」


 ……いや、良いタイミングなのかもしれない。

 トシには伝える気でいたし……。

 というか、伝えたかったけど無視されてたし。


「とりあえず恋人とか、好き合ってるわけじゃないから安心して良いよ」

「なるほど……じゃあ、なおさらのこと変じゃね?」

「まあ、実は……俺も、よくはわかってないんだけど……」


 藤本さんが誘ってくる意味とか、静香さんの態度とか。


「はぁ? どういうことだ?」

「その前に、こっちの事情を説明しとくよ」


 実は継母に連れ子がいて……それが静香さんであることを伝えた。

 もちろん、俺が好きだったとか、振られたとかは言っていない。


「……すまん……本当の話だな?」

「うん、本当なんだ。今まで黙ってて、ごめん」

「いや……当然のことだな。そんなの、人に言うもんじゃない。悪いことは何もしてないけど……面白おかしく言う奴は絶対いるし」

「そうなんだよね……俺も、隠したくて隠してるわけじゃないから。あと、女の子と男とは色々違うと思うし」


 そのせいで、静香さんが虐められたとか……由美さんに合わす顔がないよ。


「あぁ〜中村さん、人気あるけど……立ち回りが上手いわけじゃないから、嫉妬もされてるしなぁ……余計なこと言い出す奴はいるだろうな」

「やっぱり、そう思う?」

「ああ、何人か言いそうな奴らがいる。ギャルグループの横澤とか、佐々木とか……」

「誰だっけ?」

「……相変わらず、他人に興味がない奴」

「すみません……」


 話を聞くと、髪を染めて服装が緩い感じの人達らしい。


「ああ、いつも大声で話してる人達?」

「それだ、それ。俺も仲良いわけじゃないが……あまり、面白い話はしてないな。誰かの悪口とか、親の悪口とか……もっと、楽しい話をしろってんだ」

「そっか……じゃあ、気をつけないとね。妹を守るのは兄の役目だし」

「おっ、そういう感じか。じゃあ、何かあれば頼ってくれ。こう見えても、顔は広い」


 トシはコミュ力も高いし、友人も多い。

 何より、俺が信頼している友達だ。


「ありがとう、トシ」

「なに、良いってことよ。お前のそういうところ……いいと思うぜ。自分じゃなくて、相手のことを考られるところが」

「そ、そうかな? 」

「ただ……そのせいで、自分を押し殺すのが心配だな」

「えっ?」

「いや、なんでもない。俺とは違うわな……おっと! 食おうぜ!」

「やばいっ! 昼休み終わっちゃうよ!」


 俺たちは、急いで弁当をかきこむのだった……。






 そして、放課後を迎え……。


 トシを、我が家に連れてくる。


「は、入る?」

「お、おう」


 何かわからないけど、二人共緊張している。

 もしかしたら、非日常的な感じなのかもしれない。


「兄さん? 何をしてるの?」


 二人でわたわたしている間に、いつの間にか扉が開いていた。

 すでに帰っていた静香さんが、私服姿で出迎えてくれる。


「ほ、ほんとだ……中村さんがいるぜ」

「こんにちは、鈴木君。兄さん、上がってもらわないの?」

「う、うん、そうだね」


 あれ? 静香さんが、全然緊張してない?

 男の人が苦手とか言ってたけど……い、いや、何を複雑な気分になってるんだ。

 信頼するトシが良い奴ってことじゃないか……はぁ、我ながら器が小さい。




 ひとまず、リビングに通して……テーブルに着く。


「はい、鈴木君」

「ど、どうも……」

「兄さんも」

「どうもです」

「ふふ……なんで、二人が緊張してるの?」


 いや、そっちこそ……なんで、そんなに余裕があるの?


「い、いや、別に。と、トシ、部屋に行こうか」

「お、おう。これ飲んだら行くか」

「変な二人ね……鈴木君、兄さんをよろしくお願いします」

「あ、ああ……あと、中村さんもね。何かあったら相談して」


 そうなんだよなぁ……実際、トシのが頼りになるんだよなぁ。


「ありがとう……ふふ、兄さんの言う通りね」

「へっ?」

「兄さんが、鈴木君のことをすっごく良い人だって」

「そ、そうですか……おい、照れるじゃんか」

「いや……照れるのは俺じゃない?」

「ふふ……じゃあ、ごゆっくりどうぞ。私は、買い物行ってくるね」




 静香さんが出て行ったあと……部屋に移動する。


「なんか、雰囲気違うな?」

「そうかな?」

「ああ、いつもは無愛想な感じで……まあ、クール系っていうか……あんなに笑うんだな」

「人見知りらしいからね」

「なるほどねぇ……」

「さすがはトシだよ。静香さんが、全然警戒してないもん」


 本当に……少し嫉妬するくらいに。

 俺にだけ見せるなんて、変な勘違いをするところだった。

 やっぱり、俺は兄さんってことだよな……。


「何言ってんだ? お前が信頼されてるからだろ?」

「へっ?」

「どう見たって、お前を信頼してる目をしてたぞ? だから、俺のことも警戒してなかったんじゃないか? 年頃の男二人と一緒にいたのにさ。彼女くらいの女の子だったら、普通警戒するぜ?」


 ……そういうことなのか?

 俺を信頼してるから……トシへの態度が柔らかいのか?


「なあ、それより……藤本さんがお前と昼飯を食う意味は?」

「あ、ああ……詳しくはわからないけど、静香さんのことを心配してのことだと思う。親友の兄がどんな奴か、気になってるんだと思うよ」

「なるほど……そういや、仲が良いって言ってたな」

「うん?」


 仲が良い? 誰から聞いたんだろ?


「い、いや……ほ、ほら、勉強しようぜ! お前のせいで、全然出来てないんだよ!」

「それ、俺のせいなの?」

「そうだよ。だから、責任持って教えてくれ」

「はいはい、わかったよ」

「そんで……終わったら、色々と話を聞いてくれるか?」

「ん? ……ああ、もちろんだよ」


 話はそこで終わり、勉強に集中する。


 ここで悪い点を取ったら、バイト先にも迷惑かけるし。


 色々と気になる点はあるけど……ひとまず、テストを終えてからだな。


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