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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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トシの告白

 何かが、おかしい。


 いや、何もかもがおかしい。


 おかしなことがありすぎて……もはや、よくわからない。


「一個ずつ整理していこう」


 自分の机の上で、ノートを取り出し……。


「まずは、静香さんの様子が変だ」


 最近、鼻歌を歌って機嫌が良い。

 それ自体は、とても良いことだ。

 でも……やたらと、好物を聞いてくる。


「俺のお弁当用ってことなのはわかるけど……」


 藤本さんの言う通りだとしたら、俺のを作りたいってこと?

 家族だから? 俺のお金の心配?

 でも……喜ぶのは変じゃないか?


「そう、その藤本さんも変だ」


 引き続き、昼休みなったら誘いにくるし……。

 やたらめったらに、質問されるし……。

 俺のことを好きなんて、変な勘違いはしないけど……。


「それでも、その意図がわからない……」


 何より、おかしいのは…あいつだ。


 藤本さんの突撃から、教室に帰って来た時……。


 みんなから、物凄い見られたけど……。


 普段話さないので、みんなもどうして良いかわからないらしく……。


 誰も話しかけてこなかった。


 それでも……トシだけは、突っ込んでくると思ったけど。


 何も言ってこない。


 それどころか、それ以来話しかけてこない。


「俺、何かしたっけ?」


 トシに嫌われると……辛いなぁ。


「一応、明日から勉強会の予定だけど……」


 ……勇気を出して、話しかけてみるか。

 みんなが腫れ物として扱う中、トシだけは普通に接してくれたんだ。

 きっと……何か、訳があるに違いない。






 翌日の月曜日……。


 ホームルームが始まる直前、席に戻ってきたトシに……勇気を出して。


「トシ!」

「お、おお……春馬……」

「……俺、何かしたか?」

「い、いや……すまん! おれが悪かった!」


 すると、いきなり……席から降りて、土下座をした。


「えぇ!? や、やめてくれよ! 」

「いいや! 俺の心が狭いせいで、お前を無視する形になっちまった!」

「よ、よくわからないんだけど……」

「俺を殴ってくれ!」

「殴らないよ!?」


 すると……頭に衝撃が来る。


「「イタっ!?」」

「ったく、何やってんだ。青春か?」

「よ、吉野先生……」

「痛いっすよ……」


 どうやら、ノートを丸めたもので叩かれたらしい。


「ほれ、席に着け。もう、ホームルームの時間だ。それと、昼休みに俺のところに来い」

「「は、はい!」」


 それだけいい、教壇に戻っていく……。


「せ、説教されるのか?」

「いや、そんなタイプじゃないよ。まあ、行ってみようよ」






 そして、昼休みになると……。


 いつものように、藤本さんが教室にやってくる。


「篠崎君〜!」

「ご、ごめんね! 先生に呼ばれるんだ」

「そっか! じゃあ、仕方ないね! 静香〜! 一緒に食べよ〜!」

「り、理沙!?」


 そして、静香さんの方に突撃していく。


「トシ?」

「………」


 何やら、様子が変だ……藤本さんを見てる?


「おーい! トシ!」

「あ、ああ……」

「ほら、いこうよ」

「そ、そうだな」




 職員室の前にいくと、吉野先生が待っていた。


「おっ、きたか。とりあえず、ついてこい」

「「は、はぁ……」」


 二人で顔を見合わせて……笑う。

 どうやら、嫌われたわけではなさそうだ。




 先生の後をついていくと……空き部屋の教室前に来る。


「ここだな……ほれ、入りな」


 鍵を使って中に入り、俺たちを誘導する。


「し、失礼します」

「こ、ここで説教か?」


 扉が閉められ……。


「ほら、これでも食え。惣菜パン買う時間が勿体無いだろ」


 そこには、コンビニ弁当があった。

 しかも……ほんのりと温かい。


「これって?」

「俺の奢りだ。じゃあ、終わったら鍵を返しにこいよ」


 それだけ言って……先生は去っていく。


「な、なんだったんだ?」

「あの人なりの気遣いってやつかな。お節介はするけど、し過ぎないっていうか……教室では話辛いと思って、ここを貸してくれたんだと思う」

「へぇ……噂通り、良い先生だな」

「うん、そう思うよ。こう……適切な距離感っていうのを大事にしてるみたい」


 俺が一年の頃も、そうやって気遣ってくれた。

 俺が一人いると、さりげなく様子を見たり……。

 たまに話しかけてきて、コーヒーを奢ってもらったり……。

 俺の話を、じっと聞いてくれたこともある。


「そういうのって良いよな。大人ってだけで、偉そうに押し付けてくる奴が多いからな」

「トシ? 随分と、含みのある言い方だね?」

「まあな……それより、悪かったな。この間から、態度悪くて」

「いや、何か理由があるなら良いよ」


 誰にだって、言いたくないことはあるし……。

 そういう気分の時もあるだろうし。


「相変わらず、優しい奴だな……それが、幸か不幸かは別として」

「ハハ……確かにね。あの母親だったから、こうなったのかもね」


 妙に達観してるとか、落ち着いているとか言われたりする。


「母親か……確かに、そうかもな」

「トシ?」


 トシの家は、普通の家庭なはずだけど……何かあるのかな?


「いや、今はいい。とりあえず……理由だよな?」

「うん、そうだね。でも、良いや。嫌われたんじゃなければ。無理して言わなくて良いよ」

「お前は……いや、言わせてくれ。というか……こうなったら、相談に乗ってくれ」


 その表情は、とても真剣で……俺は、覚悟を決める。

 トシには、それだけの恩がある。


「わかった、なんでも言ってくれ」

「じ、実は……藤本さんのことが……好きなんだよ」


 ……はい?

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