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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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はじめてのバイト前編

 あれから数日が過ぎ……。


 あんなハプニングもあったが……。


 ようやく二人とも、ぎこちない感じが収まった。


 そして土曜日になり、いよいよ初の出勤日を迎える。






「へ、平気!? 持ち物は!?」

「お母さん、平気だよ。兄さんもいるから」

「そ、そうよね! 春馬君! 静香よろしくお願いね!」

「え、ええ、頑張ります」

「由美さんが慌ててどうするんだい?」

「智さん……そうよね、もう高校生なのよね」

「お母さん、もう平気だから。私も、色々一人でも出来るようになるから」

「ふふ……少しさみしいけど、嬉しいわ。ええ、わかったわ」

「じゃあ、行ってきます」

「ええ、 いってらっしゃい」

「春馬、しっかり面倒を見るんだぞ? 一応、お兄さんなんだからな?」

「ああ、わかってるよ。じゃあ、行ってくる」




 二人で家を出て、エレベーターに乗る。


「も、もう……ごめんなさい」

「ううん、気にしないで。心配なのは無理もないし」

「お母さん、少し過保護なところがあるから……」

「まあ、可愛いから仕方ないよね」

「……へっ? な、何言ってるの!?」

「うん? ……あっ——い、一般論だから! 深い意味はないから!」

「そ、そう……こっちこそ、過剰に反応してごめんなさい」

「い、いや!こち」


 その時、チーンという音が鳴り……扉が開く。


「い、行こうか」

「い、行きましょう」


 二人して変な感じで、マンションを出て行くのだった。







 二人で別々の自転車乗って、バイト先に到着する。


 そして、店の裏口から中に入る。


「おう、来たか」

「おはようございます」

「お、おはようございます」

「ああ、おはよう。そんなに緊張しなくていい。今日はお試しだし、研修バッチをつけてもらうからな。うちの店は繁盛店ってわけでもないから、落ち着いてやれば平気だ」

「は、はい!」


(だめだ、こりゃ。完全にガチガチになってる。そういや、俺もそうだったなぁ)


「大丈夫だよ、静香さん。ここのお客さん、優しい人が多いから」

「おっ、偉そうに。お前なんか、もっと緊張してたが?」

「ちょっ!? それ言います!?」

「兄さん、本当?」

「……まあ、本当です。ガチガチになって、コップを割りましたね」

「クク、面白かったよ。すみません! すみません! てな。別に安物のコップだっていうのに……まあ、真面目な奴だなとは思ったから良いけどな」

「ふふ、兄さんったら……あっ、ごめんなさい」

「いや、いいよ」


(少し肩の力を抜いてくれたみたいだし……俺の恥ずかしい過去が彼女の役にたつなら安いものさ……実は、かなり恥ずかしいけど)





 先に更衣室に入り、制服に着替えてタイムカードを押す。


「さて……今は四時四十分か。悪いな、少し早めに来てもらって」

「いえ、大した時間でもないので」


 バイトは、基本的には十分前くらいに入っていれば良い。

 それが、まず最初に教えられたことだ。

 でも更衣室は一つだし、今日は新人さんなので準備に手間がかかる。

 なので、俺も早めに来たということだ。


(親父にいったら、それが大人への第一歩だとか言われたっけ。今なら、何となく意味はわかるけどね。仕事を始める準備の時間ってことだと思う)


 五分ほど待っていると……。


「こ、これでいいのかな……?」


(……凶器だ)


 従業員専用の黒Tシャツは、彼女の大きな胸を強調している。

 さらに、前掛けと言われる腰に巻くタイプのエプロンを着ているが……。

 そのウエストはキュッと締まっているのがよくわかる。

 それがさらに、大きな胸を強調する。

 まさしく……目に毒である。


「兄さん……見過ぎです」

「ご、ごめん!」

「クク、お前も男だったんだな? あいつらには興味も示さないのに」

「いやだって、あの人達は酷いですし。俺をおもちゃ扱いですし」

「まあ、それもそうだな」


(この人は相変わらず余裕があるよなぁ〜。確か年齢は三十過ぎだけど、可愛い女の子いるのにそういう視線を向けることもないし。いわゆる、しっかりした大人って感じだよな)





 その後、静香さんもタイムカードを押して……。


 いよいよ、バイトの始まりである。


「まずは、うちは客席が少ないよね?」

「うん、そうね。二十人くらいしか入れないものね」

「だから、オーダーもレジも割と古いタイプのシステムなんだ。お客様に注文を受けたら、オーダー表に書く。ラーメンだったら、その際に麺の固さと味の濃さを聞いて、それを横に書き込む」


 試しに紙に書きつつ、説明する。


「なるほど……大盛りとかはどうするの?」

「ラーメンの横に(大)って書けばいいよ。(半)なら半麺の量とかね」

「ふんふん……何か注意点はあるかな?」

「そうだね……たまにお客様がメニューを指差すことがあるんだ——これくださいって」


 俺は実際にメニューを指差してみる。


「そういう人、たまに見るわ。何が……あっ——そういうこと」

「うん、たまにどっちかわからない人がいるんだ。味噌を指差しているのか、醤油を指差しているのかね。その時にオーダーミスが起きやすいかな。こっちも間違えたつもりもないし、あっちもないから一番困るよね」

「そうね……でも、謝るのはこちらよね?」

「まあ、一応ね。ただ、そこまで気にしなくても良いよ。店長もその辺はわかってるし、それで怒鳴るようなお客様はすぐに出禁になるから」

「わ、わかったわ」

「もし言われたら、すぐに呼んでくれて良いからさ」

「ふふ、ありがとう、兄さん。その……頼りにするね」


(うん、変な客が居たら頑張ろ……どんな厳つい奴でもね)



 その後、俺が客となってシミュレーションをする。


「えっと、お客様は一名様ですか?」

「はい」

「では、カウンター席にお座りください」


 俺は言われた通りに、指定の席に座る。


「……お客様、お冷を失礼いたします。ご注文がお決まりになられたらお呼びください」

「じゃあ、味噌ラーメンで」

「固さや味の濃さはどうなさいますか?」

「じゃあ、濃いめ、やらかめで」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」


(……うん、問題なさそうだね)


「店長、どうですか?」

「まあ、良いんじゃないか。そんなに馬鹿丁寧にやることはないから、慣れてきたらもっとフランクで良いくらいだ」

「わ、わかりました」

「ひとまず、今日はお冷を出すこと。あとは、お一人様だったらオーダーを取ることだな。あとは、春馬やこれからくる麻里奈を見ているといい」

「は、はい」


 こうして、バイトの準備は整った。


(よし! 頑張ってフォローするぞ!)


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