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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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22/55

ハプニング

 ……うーん? なんだ?


 誰かの声がする……?


「……さん、兄さん!」

「……静香さん? どうしたの?」

「ど、どうしたのって……遅刻しちゃうわよ?」

「……まじ!?」


 一気に覚醒した俺は、急いで起き上がる!


「ちょっ、ちょっと、いきなり起きたら危ないよ? それに、早めに来たからそこまで焦らなくても大丈夫だから」


 俺はスマホを見ると……充電が切れていた。

 どうやら、寝ている間にコンセントが抜けたらしい。

 次に時計を見て、いつもより十分ほど遅いことを確認した。


(……ほっ、どうやらわざわざ起こしに来てくれたみたいだ)


「そっか、ありがとう」


 俺は布団を剥いで、軽く伸びをする。


「……へっ? ——きゃっ!?」


(ん? 何か可愛らしい悲鳴が聞こえたけど……)


 静香さんを見ると……何故か、両手で顔を覆っている。

 そして、みるみるうちに耳まで真っ赤になっていく。


「どうかした?」

「そ、それ……」


 俺はゆっくりと彼女の指差す視線を追い……絶望する。


「ご、ごめんなさい!」

「べ、べ、別に、だ、大丈夫! は、早く着替えてねっ!」


 彼女は慌てて、部屋を出て行った。


「……死にたい」


 いわゆる、男子高校生あるあるの朝から息子がお盛んな状態でした。

 俺は……この後、どういう顔をしてれば良いのかな?




 本当なら、このまま布団の中に帰りたい。

 でも、遅刻するのは嫌だし、一生いるわけにいかないので……。


「……とりあえず、顔洗うか」


 彼女と顔を合わせないように、洗面所に行って顔をあらう。

 その頃には、なんとか息子も落ち着いていた。



 リビングに入ると……。


「に、兄さん! 私、もう行くから! 洗い物はいいから遅刻しないようにねっ!」

「あ、ああ、わかった。いってらっしゃい!」


 パタパタと彼女は慌てて家を出て行く。


「……今日の帰りにお詫びでも買って謝ろうっと」


 俺は急いで朝ごはんを食べ、家を出るのだった。







 俺が教室に入るところで……チャイムが鳴る。

 そして、教室の扉に手をかけている先生がいた。


「おっ、春馬」

「よ、吉野先生……だ、ダメですかね?」

「ふっ……良いだろう、お前には妹が世話になってるしな」

「あ、ありがとうございます!」

「ほら、さっさと教室に入れ。俺はここで1分だけ待ってやる」


 俺は急いで教室に入り、素早く自分の席に着く。


「ほっ、良かった……」

「うん?」


 横から声が聞こえた気がしたので、見ると……一瞬だけ目が合う。


「「っ〜!!」」


 そして、同時に机に突っ伏す!

 二人とも、何とか声を上げることはなかったけど……。

 だれか、変に思った奴はいないだろうな?

 下手に見回すのも怪しいので、何でもないふりを装う。


「おっ、今日も全員いるな。じゃあ、ホームルームを始めるぞ」


(ふぅ……先生も来たし、平気そうだね。しかし、ギリギリだったな。これからは気をつけないと……色々な意味で)







 その日の昼休み、珍しくトシが話しかけてくる。


「なあ、今日購買で買って昼飯食わね?」

「あれ? 弁当は?」

「母さんが風邪ひいてよ。今日は無しなんだわ」

「そういうことね。ああ、良いよ」




 俺はトシと激戦を勝ち抜き、何とか目当てのパンを手に入れる。


「ぜぇ、ぜぇ、相変わらずきついな」

「はは、だらしねえな。お前も少しは運動したらどうだ?」

「……何も言い返せない」


 バイト以外にも、何か始めてみようかなぁ……。




 その後、中庭のベンチに座り、パンを頬張る。


「なあ」

「うん?」

「中村さんと何かあったん?」


 俺はこの時の己を褒めてあげたい。

 声も荒げず、驚くこともなく、冷静になっていた。

 というのも、何処かで聞かれることを想定してたからだ。


「いや、何もないよ。どうしてだ?」

「いや、ないなら良いんだよ。今日、中村さんがお前の席をチラチラ見てたからさ」

「ん? いつのこと?」

「朝、お前が来る前だな」

「あれじゃない? 真面目だから、遅刻しそうな俺が気になったんじゃない?」

「まあ、そんなもんか。しかし、お前も変わってるよな」

「何が?」

「いや、普通の男子なら舞い上がってるぜ? お、俺のことを中村さんが!? みたいな感じで」

「いやいや、どこのラノベの主人公だよ」

「ははっ! たしかに! おっと、話してる場合じゃねえな。急いで食わねえと」


 その後、急いで食べて教室に戻る。


 その際に心の中で、トシに謝りつつ思う。


(というか、俺は振られてるし。今更、勘違いなんかしないよ)






 放課後を迎え、俺は寄り道をしてから家に帰る。


「た、ただいま……」


 そのまま、リビングに入ると……。


「兄さん、お帰りなさい」

「た、ただいまです」

「け、今朝はごめんなさい!」

「へっ?」


(な、何で彼女が謝るんだ?)


「わ、私のせいで遅刻しそうになっちゃって……」


(ああ……そういうことかぁ。だから、俺の席をチラチラ見てたってことか)


「い、いや!あれは俺が悪くて! その……すみません」


(彼女はただでさえ、男が苦手なのに……)


「う、ううん! その、びっくりしただけだから……は、初めてだったし……」


(なんて素晴らしいフレーズなんだ……って、違う!)


「そ、そうなんだ」

「こ、今度から気をつけてね?」

「はい、充電は寝る前にしとくよ」

「なら、許します」

「じゃあ……これ、お詫びに買ってきたから」


 カバンの中から、ケーキの箱を取り出す。


「わぁ……開けて良い?」

「うん、もちろん」

「ショートケーキとモンブラン……」

「好きな方を食べて良いよ」

「ど、どっちが良いかな? うぅー……迷う」

「別に、両方食べても良いよ? お詫びだし」

「それは悪いわ。うーん……半分個しましょう」


 そう言うと、皿に盛りつけ、ナイフで切る。


「はい、兄さん」

「あ、ありがとう」

「ふふ、なんで兄さんがお礼言うの。ありがとう、兄さん」


(うん、お詫びにもなったけど……この笑顔が見れるなら安いものだね)


 そして、俺たちは仲良くケーキを食べるのだった。


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