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俺を振った女の子が義妹になった件について~すれ違う両片想い~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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縮まる距離

 ……よくわからないが、ひとまず落ち着こう。


「えっと、どうしたのかな?」

「ち、違くて……」

「はい、落ち着いて」


 何やらアワアワしてて可愛いけど……。

 いつもクールな感じだし、なかなか新鮮だよね。


「とりあえず、座ってもらったらー?」

「ああ、そうですね。じゃあ、一番端のカウンターにしようか」

「へっ? は、はぃ……」


 麻里奈さんの言う通りに、ひとまず席に座らせる。


 するとカウンター越しに、店長が声をかけてくる。


「春馬、少し早いが休憩入って良いぞ。そのまま、店が閉まるまでな」

「えっ? まだ三時過ぎですけど……」


(確かに、もうピークは過ぎてるから平気だとは思うけど)


「あ、あのっ! わたし、帰りますから!」

「いいから、座ってな。何、こっちは少し懐かしいくらいだ」

「ふふ〜お兄も、よく彼女を座らせてましたもんねー」

「ああ、懐かしいもんだ」

「えっと……」

「静香さん、大人しく従おう。この人たち、意外と強引だからさ」

「う、うん……」




 俺はひとまず着替えて、静香さんの隣に座る。


「それで、どうしたの?」

「えっと……」


 その時——キュ〜という可愛らしい音が鳴る。


「……へっ?」

「あぅぅ……」

「……お腹なった?」


 静香さんは恥ずかしそうに俯いて、コクコクと頷く。


「あれ? お昼ご飯は?」

「……食べてない」


(うん? 今が三時で、俺が家を出たのは十一時半だから……あれ?)


「もしかして、昼寝でもしてたの?」

「ううん、そうじゃないの……」


(うーん、わからない……でも、とりあえずわかることは……)


「店長、俺がお金出すんで、二人前良いですか?」

「へっ? ……だ、ダメよっ!」

「あいよ、任せとけ。なに、俺が奢るから平気だ」

「えっ? そ、そんな、悪いです!」

「良いって。噂の春馬の妹なんだろ? 俺は春馬に助けられてるからな。その借りを返すだけだ」


(……相変わらず、格好いい人だよなぁ。俺が女だったらとっくに惚れてるところだよ)


「まあ、静香さん。そういうわけなんで」

「い、いいの……?」

「俺も最初は色々思ったけど、そういう人達なんだ」

「そ、そうなのね……ありがとうございます」

「ああ、それで良い。若いうちから遠慮を覚えたらつまらないからな」


 そう言い、店長は仕事に戻っていく。



 すると……ずっとタイミングを見計らってた人が来る。

 おそらく、ノーゲスになったからだ。

 このあたりが、この人の出来るところだよなぁ。


「ふふ〜可愛い妹さんだねっ!」

「あ、ありがとうございます?」

「麻里奈さん、あんまり近づかないでください」

「ひどいっ!?」

「……名前呼び?」

「あれれ〜? ヤキモチかな?」

「ち、違いますから……違うからね?」

「うん、わかってるよ。この人はね……吉野先生の妹さんなんだ」

「どーも! お兄がお世話になってます!」

「あっ、なるほど。いえ、こちらこそお世話になってます」

「まあ、こんな感じの元気な人だから。距離感が、誰とでも近いんだよ」

「そ、そういうことね」

「よろしくねっ! それじゃあ、私は上がるからごゆっくりどうぞ〜」


 そう言い、風のように去っていく。

 相変わらず元気というかなんというか……まあ、今は慣れたけど。




 そして、五分ほど経つと……。


「ほらよ」

「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ、ゆっくりしていってくれ。店は閉めて、俺は裏にいるから」


 そういうと、あっさり裏に戻っていく。

 多分、気を使ってくれたんだろうなぁ。


「いただきます……うん、美味い」


 スタンダードな醤油のようで、深い味わい。

 癖になるというか、何回食べても飽きない味だ。


「いただきます……この間も思ったけど、美味しいね」

「でしょ? 俺、結構好きでさ」

「私も好きかも。こってりしてなくて食べやすいし」


 そこからは、ひたすらに麺をすする音だけがする。

 理由は単純で、麺が伸びるのと……お腹ペコペコだからです。





 そして、あっという間に食べ終わる。


「ふぅ……ご馳走さまでした」

「ご馳走さまでした。兄さん、ごめんなさい」

「ん?」

「迷惑かけちゃって……」

「全然気にしてないよ。ただ、どうしたのかなぁとは思ったけど」

「うぅー……」

「あっ、無理に言わなくて良いから! うん、そういう時もあるよねっ!」

「……ふふ、やっぱり優しい人ね」

「そうかな? 普通じゃない?」

「ううん、そんなことない。暮らしてからずっと、私やお母さんを気にかけてくれてるし。いきなり家に入ってきた他人なのに、暮らしやすいようにしてくれてる」


(……バレてたか。いや、確かにそういう意識はしてたけど)


「それはお互い様だよ」

「そうだと良いんだけど……うん、だからかな?」

「えっと?」

「今の家で暮らしてから、今日が初めての一人で……なんか、寂しくなっちゃって」

「……うん、わかるよ」

「兄さん?」

「俺もさ、母さんが出て行って……初めて家で一人になったとき、すごい寂しかったのを覚えてるから」

「あっ——そうなんだ。兄さんも同じ……兄さんにとっては複雑だけど、私はわかってくれるのが嬉しいかも」


 そう言い、彼女は微笑んでくれる。


 なんだか、距離が縮まった気がして……少し複雑な気持ちになる。

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