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第74話 王都決戦 その1



 タケルは手をドラゴンに向けてかざした。


 魔弾がタケルの手から放たれた。


 連続して発射された。


 全弾がドラゴンに命中する。


 ドラゴンが煙を上げて沸騰している油に投げ入れられた生き物のように、身をよじり、のたうち、燃え、焦げ、そして地上に落ちてきた。


 ドラゴンが落ちた。


 だが、地面を揺るがす振動は無く、灰になり、消滅した。


 タケルのあまりの強さに市民たちは言葉を失っていた。


「おのれ」


 聞いたことのある声がした。


 魔王だ。


 王宮広場の空中に魔王が浮いていた。


「直接、ワシが王の首を取る」


 魔王が動いた。


「タケル!」


 タケルは私を見て頷いた。


 私を小脇にかかえた。


 次の瞬間、私は王宮内にいた。


「お父様!」


 父と母が目の前にいた。


「アン。いったい、どうしたのだ?」


 突然、私が出現したので驚いているようだった。


「勇者が復活したの」


「おお、よかった。やはりあの習志野という街から来た第一空挺団の舘野がやってくれたか」


 私は首を振った。


「なら警視庁のSAT隊員か?」


「違うの」


「では、誰が?」


「タケルよ」


「タケルだと?」


 王は首をかしげた。


「私のタケルよ」


「まさか、あのリザード族に捕まっていた若者か」


 私は頷いた。


「信じられない」


「危ない!」


 タケルが私達の間に入った。


 爆裂音がした。


 魔王の魔弾だ。


 だけど、タケルがシールドを張ってくれて、私達は無事だった。


「この城ごと吹き飛ばしてやる」


 魔王が叫んだ。


 次の瞬間、バルコニーの前に浮いていた魔王が吹っ飛んだ。


 タケルが体当たりをしたのだ。


 タケルと魔王は数百メートル先の教会に激突した。



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