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第73話 王都の危機


 

「タケル!」


 私はタケルにしがみついた。


 タケルが勇者として復活したことがまだ信じられない思いだった。


 街を襲っていた魔物たちもすべてタケルが掃討した。


 隠れていた街の人たちが恐る恐る通りに出てきた。


 まどかが駆けきて言った。


「隊長! 王宮が魔王が召喚したドラゴンの攻撃を受けています」


「2つに分裂した魔王はもう王都に達したのか」


「おそらく魔法で移動したのだと思います」


「どうする」


 まどかは無言で特殊装甲車を指さした。


 魔王の魔弾の直撃を受けて大破していた。


 王都までは馬で数時間、歩きなら丸一日かかる距離だ。


 タケルは復活したが、このままでは王都が陥落してしまう。


 私はタケルを仰ぎ見た。


「アン、僕のそばに来て」


 タケルの横に行くと、抱きかかえられた。


 タケルが、片手を上げた。


 次の瞬間、私達は王宮前広場の中央に立っていた。


 王都は火に包まれていた。


 城の第三塔がドラゴンの攻撃で崩れ落ちるところだった。


 群衆が悲鳴を上げて逃げ惑っていた。


 子供を連れた母親が目の前を走っていた。


 子供が倒れた。


 魔物が追ってくる。


 母親が子供をかばうように身を挺した。


 母親は迫りくる魔物を見て天を仰いだ。


「ああ、神様、助けて下さい」


 タケルが前に出た。


「ハァッ」


 刀を抜き放つ。


 その抜き打ちで魔物が2つになった。


 そして消えた。


 倒れている子供を抱きしめて涙を浮かべている母親は何が起きたのか分からない様子だった。


 私とタケルを交互に不思議そうに見た。


「ま、まさか、勇者様……」


 タケルは黙って前に進んでゆく。


 そして市民を襲う魔物たちを一太刀で切り捨てて行く。


 さらに、迫りくる魔物の軍勢に向けて、気合と共に刀を振った。


 刀から光の刃が飛び、轟音と共に、魔物の群れが青い炎に焼き尽くされて行く。


「勇者様だ」


「アン王女が勇者様と帰還された」


「勇者様が戦っておられるぞ!」


 市民の間から歓声が起きた。


「王様が危ない」


 その時、広場の市民が叫んだ。


 見ると、ドラゴンが王宮の中心の塔のベランダに首を突っ込み、王を殺そうとしていた。


「タケル、助けて!」


 タケルは頷いた。




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