第72話 勇者の反撃
「おのれ」
魔王が両手を前に出した。
火炎を出そうとしているのだ。
「タケル、逃げて」
だがタケルは私を抱きかかえたまま、その場に立っていた。
火炎が来た。
私は目を閉じてタケルの胸に顔を埋めた。
熱く無かった。
見ると、私達の前で火炎が止まっていた。
「魔法で防御したの?」
タケルは無詠唱で、しかも何の予備動作もなく、魔法でシールドを張った。
そして、私を抱いたまま、十数メートル後ろにジャンブした。
まどかとジルが待機しているところに着地すると、私をおろした。
「アン、借りるよ」
そう言って、落ちていた勇者の剣を拾った。
タケルが勇者の剣を両手持ちして真っ直ぐ天に向けて立てると、雷鳴がとどろき、剣に雷が落ちた。
まばゆい閃光に私は目を開けていられなかった。
目を開くと、細身の勇者の剣は大刀に変化していた。
タケルは剣道のように正眼に構えた。
「そんな刀でワシを倒せるとでも思っているのか」
魔王が瞬間的に移動して、タケルの首を手で刎ねようとした。
タケルの姿消えた。
私はタケルの首が飛んでどこかに消えたのかと思い悲鳴を上げた。
だが魔王の後ろにまわり込んでいた。
「ハアッ」
刀が魔王に触れた瞬間、真っ赤に焼けた鉄を水桶に入れたような煙と音が響いた。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」
魔王の胴が割れて、そこから青紫色の泡が吹き出ていた。
魔王が、のたうちまわった。
周りで魔王を見守るようにしていた魔物たちが一斉にタケルに襲いかかってきた。
タケルは疾風のように動き、刀で斬り捨ててゆく。
刀は強力な魔力を帯びているようで、刀に触れるや魔物は浄化されて泡となって消えて行った。
タケルは魔物の群れを一掃した。
そして、魔王に近づいていく。
魔王は体の半分が溶けかけていた。
タケルは刀を鞘に収めると、手をかざした。
光がほとばしり、魔王が消滅した。
私は夢を見ているような気がした。
タケルが生き返り、魔王を倒したのだ。
「タケル!」
私はタケルのもとに駆け寄った。
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