第68話 魔王との戦い その2
「田中の様子はどうだ」
「バラバラになったままです」
「復活の兆候は?」
「ありません」
万事休すだった。
次の勇者候補はこの場にいない。
このままだと、魔王と魔王の軍勢が王都に攻め入ってしまう。
「まどか、無線で状況を報告して、すぐに異世界から勇者候補を召喚するように伝えろ」
私は代々伝わる勇者の剣を抜いた。
「皆は、市民を避難させて逃げるのよ」
「隊長は?」
「私はここで奴らを足止めする」
「無理です」
「他に手立てはない」
「でも隊長一人では……」
「私は王族でこの勇者の剣がある。僅かだが魔力がこの剣には宿っている。奴らの足止め程度はできる」
「でも」
「通常の武器が一切役に立たないことはわかっているだろう」
「隊長!」
私はかまわず前に進んだ。
魔物が襲ってきたが一太刀で斬り捨てた。
すると横から別の魔物が迫ってきた。
ドーンという音とともに、魔物が倒れた。
「隊長、お供します」
ジョンがまだ煙を出しているグラネードランチャーを抱えて私の後ろにいた。
倒れた魔物はすぐに起き上がってきた。
私は剣を一閃させて、その首をはねた。
魔力を帯びている剣で首を刈られた魔物は動かなくなった。
「ほお、少しはやるようだな」
魔王が出てきた。
私は剣を構えた。
ジョンとオクトパスが両脇から援護して、銃弾と榴弾を魔王に撃ち込んだ。
私は斬り込む隙きをうかがった。




